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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第二十話 軋轢
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ていた紀伊の足が止まった。耳がすれ違いざまに出てきた駆逐艦娘たちの会話を捕えたのだ。
「聞いた?会議室での話。」
「また尾張さんが武蔵先輩たちに絡んだって話でしょ。」
「そんなレベルじゃないよ。あんまり失礼だってんで、武蔵先輩が尾張さんの首をひっつかんで締め上げたって・・・・。」
「ええっ!?」
「別に死にはしなかったけれど。でも、私だったら怒るなぁ。だいたい尾張さんって何様なわけ?確かに空母だし戦艦だし、私たちなんかよりもよっぽど優秀かもしれないけれど、誰彼かまわずさげすむ態度はどうかと思うよ。」
「確かにね、神経疑うわ―――。」
紀伊は深い吐息を吐いた。
「あの・・・。私たちからも尾張さんに話してみましょうか?」
一緒にいた榛名がためらいがちに声をかけたが、紀伊は首を振った。
「いいえ、いいんです。これは私たちの問題ですから・・・・。」
「ですが・・・・このままでは尾張さんは本当に孤立してしまいます。今のうちに何とかしなくては・・・・。」
霧島も気が気ではないようだ。
「私にだって蔑みの言葉をぶつける妹です。榛名さんたちに諭されても素直に聞くとは思えません。たぶん言葉だけではだめなんだと思います。何か妹の考えを改めるきっかけがあればいいのですけれど・・・・。」
そこまで独り言のようにつぶやいてから、紀伊は顔を上げた。
「ごめんなさい。せっかくのお茶会なのに、変なことを言ってしまって。」
「いいんです。紀伊さんがお一人で悩まれるのを黙ってみていることはできませんから。」
榛名はにっこりした。
「間宮に入ったら相談しましょう。私たちも力になれればと思います。紀伊さん、一人で悩むよりも三人で悩んだ方がいい知恵が出ると思いますよ。」
榛名が優しく言う。紀伊はありがたいと思うとともに申し訳ない思いだった。榛名には第七艦隊で一緒になってから、姉妹の事、戦いの事、そして自分の存在の事などで何かとアドヴァイスをもらってきていた。

それなのに――。自分は榛名に何一つお返しできていない。

そのことが紀伊にとっての重荷だった。アドヴァイスをもらい続けっぱなしなど、親友の関係ではない。それは一方が他方に甘えることに他ならないのではないか。だが、そうかといって榛名の申し出を拒否はできなかった。榛名、霧島は自分のことを心配して、そう言ってくれているのだから。今回のことはありがたく受け、いつか自分が二人にお返しができるように頑張ろう。紀伊はそう思うことにした。
「行きましょうか。」
3人はがらっと間宮の扉を開けて入った。
「ふっざけるな!!」
大音量の怒声が飛び込んできた。
「んだと!?重巡が不要だってテメェはそういうのか!?」
麻耶、そして高雄とが間宮の店内で尾張とにらみ合っている。尾張は傲然と両手を体にまくようにして、
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