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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第二十話 軋轢
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たの。たとえ砲弾が至近距離で炸裂しても、破片がすぐ近くに飛び込んでも、あの人は身じろぎ一つしなかった。それはロシアのステヴァン・オーシポヴィチ・マカロフ中将もそうだったわ。司令長官たるもの常に陣頭に立ってもっとも最前線で敵に胸をさらすのよ。どうしてかわかる?」
「・・・・・・・。」
「それについて無口な閣下は教えてくれなかったけれど、あの人の姿勢から私は学び取ることができた。いいえ、少なくとも私はこう思うわ。麾下の兵隊の命を戦場に散らす資格があるのは、自分も同じ、いいえ、他人より危険な位置に立ちつづける人だけだからって!」
「あ、あの!!」
突然大和が叫んだ。
「あの、ごめんなさい・・・・。葵さんにそう言われると、私はとても恥ずかしいですし、穴があったら入りたいです。でも、それとは別に・・・あの・・・・どうしてそんなことをご存じなんですか?」
「え?なにが?」
葵がきょとんとした目を大和に向ける。
「まるで、ご自身が見てきたような口ぶりでしたけれど・・・・。」
葵がしまったというように口に手を当てたが、すぐにそれを放して笑った。
「やれやれ、私ったらドジね。つい熱くなっちゃった。昔っからそういうところはかわんないのよね。」
「???」
4人は顔を見合わせた。
「どうして知っているかって?簡単よ。だって私も前世からの転生者なんだもの。」
突然投げ込まれた爆弾発言に4人は凍り付いた。
「もっとも私は前世の指揮官の生まれ変わりじゃないわよ。」
突然大和が冷気にあたったように身を震わせた。大和だけではなく、他の皆も同様だった。
「もしかして・・・うそ・・・・まさか・・・・そんな・・・・。」
一度、二度、ごくりとつばを飲み込んだ大和が恐る恐るその言葉を口に出した。
「三笠、さん・・・・?」
葵は黙ったままだったが、不意に微笑を浮かべると大きくうなずいた。
「三笠、さん?あの、伝説の連合艦隊総旗艦の三笠、さん、ですか?」
長門がつっかえながら尋ねた。その隣で武蔵が目を見開き、陸奥が口を手で覆っている。
「ええ。」
「あの大海戦で先頭に立って戦ったっていう?」
「そうよ。」
「おい、本当か!?金剛が一番古いんだと思っていたが。じゃあ、金剛のさらに先輩に当たるんだろう?」
「まぁね。でも、BBA呼ばわりしたら許さないわよ。」
「東郷司令長官をおのせして?」
「別に重くはなかったけれどね。あの人少し小柄なところがあるからさ。」
元連合艦隊総旗艦はさらりと言葉を流した。だが、それはまさしく本人にしか知りえない情報だった。
「それも昔の話よ。私のことは引き続き葵でいいから。ま、それはとにかくとして・・・・。」
葵は真顔に戻って4人一人一人に目を向けた。
「私の言った意味わかってくれた?あの時はね、確かにまだ航空機は
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