Side Story
少女怪盗と仮面の神父 27
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あっても、貴女自身を貶めるやり方を選んじゃダメ。傷付いたアルフィンさんに対する貴女がそうであるように、貴女が辛い時はハウィスさん達も辛いのよ。どうしても恩を返したい、でもその為の方法が見つからないと言うなら、今はまだその時じゃない、ってコト。もどかしい気持ちは自分自身を磨く原動力にしなさい。国王陛下すらも一目置いちゃう非の打ち所がない淑女に成長してみせれば、それが恩返しになるんだから。ね?」
男にウィンクされても気持ち悪い。
と思うのに、アーレストがやると妙に様になるから不思議だ。
「……淑女とか、無理。私とは正反対だもん」
「努力もしないうちに結論を出さない! 頑張ってる人達に失礼でしょ!
っていうか……残念だけど、貴女がこの先をどう生きるにせよ、多分一度は通らなきゃいけない道になったから。その点は潔く諦めてね?」
「……は? ……へっ!? なに!?」
神父がミートリッテの横……つまり、崖先に立ち。
ミートリッテの体を引き寄せて、正面からギュッと抱きしめた。
両手をばたつかせるミートリッテの抵抗を無視して、にっこり微笑む。
「私も劇そのものは観てないけど、内容に関心を持っていた時期があるの。脚本とか原作となる創作本をたくさん読み漁ってね。それはもう、親兄弟が『お前はバカか?』と真顔で呆れるくらい夢中でのめり込んだわ。だから、貴女の疑問に私なりの答えをあげる。
劇話の多くが、崖から落ちて終わる理由はね……」
「ちょっ……、ちょっと、神父様……っ?」
アーレストの足先が、崖先を半分乗り出した。
抱えられてるミートリッテも当然、行き先は同じなワケで。
「あ、危ないって! 河! せめて河の深さ確かめなきゃ、本当にし、死、……っ!」
青ざめたミートリッテの額に口付けを落とした神父は
「落下そのものが、『解放』を表しているのよ」
なんでもない拍子で、ためらいなく。
崖先から、下方で流れる大河へ。
ポーンと跳んだ。
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