暁 〜小説投稿サイト〜
少年は旅行をするようです
少年は加速するようです Round5
[9/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
まってるじゃん。」


いつもの眠たげな姿はどこへやら、理路整然と捲し立てる愁磨君に石尾も、誰も反論出来ず。

そして最後に、くるっと回って教壇に立ち――教室の全員に向け、言った。


「この話はこれでおしまい。まだ僕の友達を傷つけたい人……いる?」


最大級の笑みを見せつけられ、首を縦に振った人は、いなかった。

………
……


「……ハル、食堂行こう。」

「……あ、ああ、分かった。」


昼休み、中学に入って初めての誘いを受けて、食堂に向かった。朝の一件ですっかり僕に興味を

無くした・・・のとは違うんだろうけど、クラスメイトが努めて・・・務めて?視線さえ向けて

来ない事を喜んでいいのか悪いのか疑問に思いつつ、カレーに茹でオクラを乗せたお盆を持って、

なるべく目立たない、端の席へタクと座る。特に会話も無く黙々と食べていたが、ふと声がかかる。


「ハル、ごめんよ。僕は親友失格だな。」

「へっ?な、何だよ急に?」

「朝の事だよ。その気になれば君を助ける事も……いや、僕には無理だったか。だとしても、

ただ座っていた僕は……本当に、ごめん。」

「な、何言ってんだよタク!あそこで助けて貰おうなんて思ってなかったし!」


何を思ったのか、急にオレに向かって頭を下げて来るタクに手をブンブン振って、決して

人の少なくない食堂をチラチラ顧みる。こんな所を見られたら、一体何を思われるのか。


「……にしても、彼には驚いたよ。あの休み時間だけで、クラスの誤解を封殺するなんて。

マスターとは別ベクトルで、とてもじゃないけれど常人に出来る真似じゃない。」

「ああ、それはオレも思うよ。あの見た目と言い対戦成績と言い、同じ人間とは思えない。」


冗談めかして言うと、タクは漸く小さく笑う。まぁ、半分冗談じゃないけれど。

現在レベル5に関わらず全戦全勝とかもうチートとしか思えない。でもチートじゃないんだよなぁ。

一回対戦しただけで分かる。ハッキリ言ってあれは"戦い慣れた"人だ。それも、アバターじゃなく。


「まぁ、今は感謝しかないよ。起こすと怒るからまだ言えてないけどな。」

「あれからずーっと寝てるんだもんなぁ。行動原理が全然わからぶっ!?」

「じょわっ!?何だよ!?」

「ゲホッ、ゲホッ!」


タクの口から飛んで来たショットガンばりの弾丸を避け、指差した方を見る。

その先に居たのは4・5人の集団。その誰もが壇上で見た事のある人達ばかり。即ち、運動部の

特待生達だ。その中に、一際背の小さい・・・能美の姿を見つけるが、同時に、それに圧し掛かる

行動原理不明的純白性非人間生物を見つけ、オレも
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ