少年は加速するようです Round5
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豹変した菅野に内心、首を奥まで縮こませながら、マニュアルと良く分からない白いのの
どちらの言葉を使うべきか迷い・・・身の潔白を証明する意味も込め、愁磨君の意見を取る。
「僕が苛めを受けている時に支えてくれた友人以外を、信用出来ないだけです。」
「う、ぐ……だ………。」
裏を返せば菅野を信用していないと言った事に気付かず、僅かに顔を青くさえして絶句する。
それに合わせ仮想デスクトップを操作し、録音モードを起動する。するとその巨大な身に似合わない
狼狽え方をした後、ゆっくりと宙を差すと、僕の視界の右端に録音開始のメッセージが出る。
・・・本当に何者なんだ、あの子は。お姉さんから人心掌握術とか帝王学とかでも習っているの
だろうか。
「………有田、一つだけ聞く。十四日の日曜日、部活に入っていない君が学校に来ていたのは
どうしてかな?」
「剣道部の友人と会うためです。」
録音を意識してか妙に丁寧な口調になった菅野の問いにすかさずそう答えると、むぐっと
口を閉ざした。タクと僕が仲が良い事は担任であるから知っている筈だし、何より事実だ。
「それと、しゅ……織原君に、ついでにと学校案内を頼まれまして。」
「そ、そうか……あの転校生となぁ…。本当にそれだけか?他の理由は無いと断言出来るか?
先生の目を見て答えてくれ。」
・・・悪い先生じゃないんだよな。ただ、絶対僕とは気が合わないってだけで。
と、思いつつ、尚も食い下がって来る菅野の目を見て応えた。
「本当にそれだけです。断言できます。」
「…………そうか、分かった。なら、もう戻って良いぞ。」
「はい、失礼します!」
盛大な溜息と共にそう言われると同時、最高速を持って扉へ向かい、最低限扉を開けて退出する。
録音モードを終了させ、音声データが正常に保存されたのを確認し、菅野に負けないくらいの
溜息をついて教室へ向かう。これで、新たな証拠が出て来ない限り僕の無実は公的に証明された
事になる。その反面、菅野の心証は悪化してしまったけれど、ご機嫌取りの為に盗撮未遂を認める
なんて、それこそ論外だ。
それにしても、能美の策は僕の数歩先を行っている。カメラを仕掛けたのすら、僕が応援に来て、
能美を追う事を読んでいたかのように・・・いや、まさか。首を振り、教室のドアを開けた。
「………?」
途端、違和感が生じる。教室内の談話が一瞬、ボリュームを落とした様に感じ見渡すけれど、
既にいつもの朝と変わらず、生徒たちは三々五々会話に花を咲かせていた。その間を縫い自分の席に
座り、また小さい溜息をつくと同時、タクからボイ
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