少年は加速するようです Round5
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ーー!!」
真名のレベルを告げた瞬間、ピンクと茶色の雨が顔面に振りかかり濡れ鼠になる。当然眠気は
吹き飛び、通常状態となった身体能力を持って10m程飛び退く。
「ゲホッ!ゲッホゴホッ!よ、4って、はぁ!?1から!?1日で!?」
「ゴホッ!な、何時間……いや、1日で出来るレベルじゃないだろ!?」
「真面目に対戦した訳無いだろアホか!つーかマジ臭いんだけど、最悪!」
ダブルミルク臭のする上着を脱ぎ、裏に隠してタオルを取り出して頭を拭くが、当然臭いも
不快感も拭える訳が無い。まさか魔法を使って湯を浴びる訳にも行かず、仕方なく新品のタオルを
取り出し、頭に乗せておく。
「無制限フィールドでだけ使える"サドンデス・デュエル・カード"ってアイテムあるだろ?
それの簡易版、通常対戦でも使えるカードにポイント入れて、何度か対戦したんだよ。」
「あ、ああ、なるほど、そう言う事ですか。」
「色々突っ込みたいけど納得した……って、すみません、コーヒー牛乳ぶっかっけて。」
「いーよいーよ、どうせ残りの授業サボる予定だったし、シャワー浴びて来るから。」
二人に手を振り、色と臭いの染みた枕を脇に抱えて、何だかんだ因縁のあるシャワールームを
目指し、屋上を後にする。あそこなら洗濯機もあるし、完全に臭いが染みる前に枕も制服も
最低限は洗える――と結論したと同時、目の前に赤文字で【緊急告知】と書かれたウィンドウが
浮かび、スクロールして行く。そして終始業とは違うチャイムが鳴り、合成音声が流れる。
『梅里中学校管理部より、緊急のお知らせを行います。現時刻より、以下の区域は全生徒の
立ち入りが制限されます。当該区域に居る生徒は、速やかに退去してください。繰り返します――』
その通達と同時に勝手に梅里中のホロ地図が展開され、体育館の地上部と地下部が赤く強調されて
点滅する。そこにシャワールームも含まれる事に気付いた俺は膝をつき――気付く。
つまりは、一日遅れただけだったのだ。女子シャワールームにカメラが隠され、発見されるのが。
そしてそれが俺の失敗から来ている事からなのは明らかだ。恐らく能美は俺が返したカメラから
動画を取り出し、タイミングがズレはしたがチユちゃんに正式に脅しをかけ、再度カメラを
設置させたのだ。
「オーマイガー……イエスアイムゴッド………。」
無理矢理ふざけてはみたものの、自分に対する怒りは治まらない。俺は舐めていたのだ、
この世界を。言葉を借りるなら『死なないなんてヌルげーだ』と思い、そんな世界ならば
胸糞展開を覆すのも容易いと思っていた訳だ。滑稽にも程がある。
だ
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