第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#15
DARK BLUE MOONZ 〜Heaven's Door〜
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” たァ大分タイプが違うが、良いフレイムヘイズだぜ。
大事にしなよ天壌の。巧く育てりゃあ我が愛しの酒 盃の
片腕くらいには遣えるかもな?
ヒャーーーーーーーーーーッハッハッハッハッハァァァァァァァァァァ!!!!!!!!」
称賛とも嘲弄ともつかない言葉をその場に残し、
美女と王は地に伏した少女に背を向ける。
しかし、ソレよりも速く。
(チ・ガ・ウ……ッッ!!)
(!?)
(!!)
灰燼と化した存在から、突如立ち昇る灼熱の闘気。
戦いを識る者なら、ましてや歴戦の勇で在るマージョリーからしても、
絶対に起き上がらない、否、 『起き上がれない』 倒れ方をした目の前の少女が、
ものの片時で立ち上がった。
無惨に刻まれた蹂躙の爪痕、引き裂かれた衣服、布地に染み込んだ鮮血、
誰がどうみても戦闘続行不可能なズタボロの躰。
しかし、その己に不利な条件をスベテを吹き飛ばすかのように、
愛刀の助けも借りず、震える脚を無理に引き起こして
少女は遮二無二立ち向かおうとしていた。
絶体絶命の状況下の中、その瞳の裡に宿った光だけは、先刻以上に滾らせて。
「シャ、ナ……」
胸元のアラストールが、慨嘆と驚愕とを滲ませた声で少女に呼びかけた。
黙って眼を閉じてさえいれば、きっとコレ以上の危害は加えず
相手は立ち去っただろう。
少女の不調を差し引いても、目の前のこのフレイムヘイズは強過ぎる。
仮に万全の状態で在ったしても果たして一矢報いるコトが出来るか否か。
戦闘経験、自在法の練度、死地に於ける狂暴な迄の精神性、
あらゆる面に於いてマージョリーはシャナを圧倒的に上回っている。
だがしかし少女は、シャナは、彼我の実力差など顧みないかのように
再び戦場へと立ち上がった。
絶体絶命の状況下に於かれるコトによって初めて気づく、
『真実』 故に。
(……私……私……間違ってた……優しいアイツに……甘えてた……ッ!
一番辛いのは、本当に苦しいのは、『私なんかじゃなかったのにッ!』 )
旅立ちの前夜、己の身を引き裂くような凄まじい怒りと悲しみを
冷たく降り注ぐ雨の中、懸命に耐えていた彼の姿。
(それなのに、アイツは、そんな自分の辛さなんか少しもみせないで、
私を護ってくれて、庇ってくれて、いつもいつも気遣ってくれて。
それなのに、私、自分の気持ちを受け止めてもらうコトばかり考えてた。
そんなんじゃダメだって、もう気がついていたのに……!
今度は私が、アイツを支えてあげなきゃいけなかったのに……ッ!)
少女の心を劈く、どうして同じ過ちを何度も繰り返すんだという悔恨。
ソレ故に少女は俯き、その小さな肩を震わせる。
(もう、イヤ……アイツの為どころか、
自分の中のイヤな
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