第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#15
DARK BLUE MOONZ 〜Heaven's Door〜
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【1】
空間を、巨大な蒼き閃光が翔け抜けた。
否、斬り裂いた。
後から捲き起こった猛烈な突風が少女の炎髪を大きく翻す。
その、刹、那。
ヴァッッッッッッッジュアアアアアアアアアアアアアアアアア
アアァァァァァァァァァァ――――――――――!!!!!!!!!
少女の首筋から下、等間隔に三迅、セーラー服が引き裂かれ
その欠刻から深紅の飛沫が空間に咲く。
大気を濡らし、時間すらも朱に染める、生命の血華。
ソレは周囲に滞留する高熱によって瞬時に蒸散し、
紅の靄と化した血霧の中へ少女の躰はゆっくりと堕ちていく。
制服の切れ端と共に宙を舞う大きなリボン。
意識が消え去る瞬間、何もかもが虚ろな心中に、過ぎる姿。
(……承……太郎……やっぱり……私……)
今際の際の光景のように、静かに紡がれる少女の言葉。
(アナタが……いないと……)
熱いのか冷たいのか解らないコンクリートの感触と、暗転する視界。
(ダ、メ……!)
もう二度と開くコトはないかのように、閉じられた灼眼。
罅割れたコンクリートの上へ、無造作に散らばった炎髪。
完成された焔儀は、ソノ対象以外余計な破壊を一切生まない。
もしマージョリーが全力で魔狼の爪を揮り抜いていたのなら、
周囲を取り囲む高層ビルを内部の鉄筋ごと軒並み真っ二つに斬り裂いていただろう。
無論ソレは、眼前で伏す少女も同じコト。
非の打ち所のない、完全無欠なる己の勝利に、満足げな微笑を口唇に刻む美女。
その姿を彩るかのように背後の巨大なる魔狼の前脚は、
大量の群青の火花となって一斉に空間へと爆ぜた。
廃ビルの荒れ果てた屋上全域に、音も無く降り注ぐ炎粒。
空間を染めていく火の香りにその嬌艶なる肢体を包まれながら、
美女とその契約者は口を開く。
「ヒュウッ、爪先掠めただけで一発KOかよ。
相変わらずおッそろしい焔儀だな?」
「フッ、最近威力が向上がるに連れ、
ソノ精度が落ちてるような気がしたから照準率を試したみたんだけど、
どうやら無用の心配だったようね。
小さくて素早しっこかったから返って良い実験台だったわ」
その風貌と立ち振る舞いから、王と同様狂猛に視えるマージョリーだが、
実は他のどのフレイムヘイズよりも実戦の怖さや不条理を熟知し
万全の態勢を整えるコトに日々執心している。
この戦闘に於ける妥協無き姿勢もまた、
“蹂躙の爪牙” のフレイムヘイズ“弔詞の詠み手” の恐ろしさの一つ。
「さて、それじゃあ失礼するとしましょうか。
ご機嫌よう “天壌の劫火” アラストール。
「本命」 前の前哨戦としては、なかなか愉しめたわ」
「“前の
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