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恋姫無双〜2人の御使い〜
第5話
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ないけどね。普通に戻ってきたら領民が黙ってないよ……それに」

 「それに?」

 「いざとなったら奥の手もあるよ」

 「奥の手?」

 「うん。僕はあんまり使いたくないんだけど……まぁ、そういう事だから受ける事で問題は無いと思う」

 「……分かった受けよう」

 相談を終え、暢介と久遠は老人の方を向いた。



 「あなたからの申し出を受けさせて頂きます」

 そう言って暢介は頭を下げる。

 「そうですか有難う御座います。それでは明日にでも城の方へ案内をいたしましょう……それでは」

 老人は感謝を告げ、頭を下げると部屋から出て行った。

 「ふぅ……夢じゃないよな」

 「夢じゃないでしょ……ねぇ暢介。何か忘れて無い僕達」

 「忘れてるって……あっ?」

 落ち着いた暢介と久遠が視線に気づきそちらの方を見る。
 そこには忘れられた事に少し涙目になっている女性の姿だった。

 しかも、ここはその女性が泊まっていた部屋だ。

 「……」

 「……良かったですね」

 妙な空気が流れる。
 さっきまで要請してて答えを聞く前に老人が来て、さっきの流れだ。

 完全に視界から消えていた。

 「あの、先ほどの要請に関してですが」

 「は、はぃ……」

 「お受けいたします」

 「ほ、本当ですか」

 「はい。あっ、一つ言っておく事が、別にここの領主になったから受けると言う事じゃないですので」

 「それって義勇軍のままでも受けてたって事?」

 久遠の言葉に頷く女性。
 さて、暢介と久遠は未だに女性の名前を聞いていない。

 その事に気付いたのか、女性が被っていたソフト帽を左手取り胸の所まで下げる。
 そして頭を下げると。

 「申し遅れました、私、姓は徐、名は庶、字を元直、真名を燈と申します」

 「……しまった。また僕、名前とか聞くの忘れてた……」

 そう呟き、落ち込む久遠。
 
 「あの……司馬懿さんは何に落ち込んで?」

 「あぁ……気にする事じゃないよ」

 そういって苦笑する暢介。
 首を傾げる燈であった。

 その後、暢介と久遠も燈と真名を交換したのだった。
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