第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#14
DARK BLUE MOONY 〜Bake The Dust〜
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【1】
「……」
「……」
群青の火片を戦風に振り捲く封絶を背景に、
二人のフレイムヘイズが真正面から対峙する。
音も無く屋上に舞い降りたセーラー服姿の美少女と、
その中心で傲然と屹立していたタイトスーツ姿の美女。
両者は互いの表情や佇まいから発せられるほんの僅かな気配から、
相手の胸裡を推察する為全身の神経を研ぎ澄ませる。
やがて沈黙するフレイムヘイズを余所に、
契約者の王が口を開いた。
「久しいな……“蹂躙の爪牙”
其の者が音に聴いた貴様のフレイムヘイズ、
“弔詞の詠み手” か……」
「ヒャーーーーーーッハッハッハッハッハァ!!!!!!
相変わらず黴クセェ喋り方だなぁ!?
えぇ!? アラストール!!」
質問には答えず、相手の荘厳な口吻とは正反対の物言いで
マルコシアスは狂声をあげた。
「ンでそのチッコイのが今のテメーのフレイムヘイズ、
“二代目・炎髪灼眼の討ち手” かッ!
『前のと』 較べて、随分小さくまとまっちまったなァ!?
ギャーーーーーーハッハッハッハッハッハァ!!!!!!」
「何ィ!」
あからさまな挑発に、シャナが敏感に反応する。
「よせ。相手に呑まれるな」
普段よりもかなり感情的になっている少女を、アラストールは厳格に諫めた。
「アラストール、一体何なの? こいつら……」
口中をキツク食いしばり幾分目つきの鋭くなった少女は、胸元のペンダントに訊く。
「……うむ。出来れば極力邂逅するのは避けたかった者ではあるな。
論難しようとも話が噛み合わぬ……」
滅多に嫌悪というモノを感じるコトはなく、
そしてソレを表情に出すコトもないアラストールの語気が少々揺れている。
敵で在る紅世の徒ではなく、味方で在るフレイムヘイズに対して。
「フン、勝手に人をつけ回しておいて、随分な言い様ね?
用がないのならさっさと帰ったら? 私もそうそう暇じゃないしね」
そこで初めてマージョリーが、栗色の髪をかき上げながら興味なさげにそう言う。
異世界 “紅世” に一際威名を轟かせる “天壌の劫火” に対しても、
全く気後れするコトはなく。
その美女に、アラストールは脇に抱えられた王よりも話が通じると解したのか
落ち着いた口調で問う。
「“弔詞の詠み手”マージョリー・ドー。一つだけ答えよ。
貴様がこの地にいるというコトは、
当然紅世の徒の討滅を目的としてのことであろうが、
一体誰を追ってきたのだ?
我等は貴様よりも早くこの地に渡り来た故、
その存在に気づかぬコトは在り得ぬのだが」
アラストールのその問いに対し、美女は妖艶な瞳で神器コキュートスを一瞥した後
深いルージュの引かれた口を開く。
「フッ、まぁわざわざ答える義理もないんだけど、
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