『凝縮』
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県外に居た彼氏が、零の母親に連絡をした。
母親が住んでる家に連れ戻された。
零を虐待とレィプし続けた養父は居ない。
母親が憎い。
零より、最低な男を選んだ。
事実を知った上で、我が子より男を取ったから。
殺意を抱かない筈がない。
同じ空間にいて殺さない自信はない。
家は寝る為の場所として考えた方が賢明。
逃げたいけど逃げない。
何の罪もない幼い弟。
養父の汚い血が流れる。
それだけで恨んでた時期がある。
悔やんだ。
辛い立場なのは弟も同じだ。
罪悪感しかない...。
居る間は出来ることはしてあげた。
一緒に遊んだりもした。
素直ないい子だった。
あんな奴の血が流れてるとは思えないくらい、根が優しい。
借用書の件も解決して、弟に迷惑かからないと確信した。
家出をした。
色々と限界だった。
数年分を凝縮した位に色々あり過ぎた。
本当は先輩の元に行きたかった。
でも、迷惑だから止めた。
先輩を逃げ場にしてしまうと取り返しがつかない気がした。
結局、県外の彼氏の元に行った。
高校生。
寄りかかれない。
あてもない。
未成年、家無し、親無し、保証人無し、何も出来無い。
誰も来ないビルの屋上に荷物を置く。
生きる為に風俗を選ぶ。
勿論、純粋な皆は知らない。
高校生にお金の心配や迷惑をかけるわけにはいかないから。
暫くして、お世話になれるところが見つかった。
風俗は続けた。
良い人間に出会えたのも事実。
悪いこと嫌なことだけじゃないのも事実。
18歳の秋、妊娠発覚。
色々と揉めたあげく、同居して産むことになった。
意地でも産むつもりだった。
何が何でも産んであげたかった。
処置しろと言われたときは大喧嘩した。
覚悟はしたつもりだった。
それでも巧くいかなかったりすると逃げたくなる。
何回、先輩に電話しようとして思いとどまったか...。
連絡出来る状況だからといって、しょっちゅう連絡するわけではなかった。
嫌われたくないから迷惑はかけたくなかった。
それでも頼ってしまう、甘えてしまうのが零の悪い癖だ。
先輩との日々が、どれだけ零を支えてきたか...先輩は知らないだろう。
知ったら笑われるだろうか。
大したこと無いことを宝物みたいに想ってる。
そんな零を馬鹿みたいだと笑うだろうか。
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