第十二話 孤独の者その三
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「実は」
「では、です」
「太子そして太子のご実家であるロートリンゲン家のお力を借りられますね」
「ひいては帝国の」
「そして教皇庁の」
「帝国と教皇庁は時折対立もしますが」
オズバルト公はこのことも話しておいた、事実であり彼等もよく認識しておかねばならないことだと思ったからこそ。
「しかしです」
「どちらの力も借りられる」
「それは事実ですね」
「特に帝国です」
太子、そして彼の後ろにあるこの国のだ。
「これは大きいです」
「では、ですね」
「太子と協力してですね」
「旧教徒である我等は対するべきですね」
「この状況に」
「そうです、そしてその我等の主はです」
低く男らしい声だ、オズバルト公はその声のまま語る。
「マイラ様です」
「ですね、あの方以外おられません」
「我等の主はです」
「最早王族の中でただ一人の旧教徒であられるあの方」
「あの方だけですね」
「はい、あの方はです」
まさにというのだ。
「我等の主に相応しいです」
「ただ旧教の信者であるだけではないですから」
「その信仰は献身的ですらあります」
「学問もお好きで聡明です」
「ご意志も強いです」
「ですから」
マイラのそうした資質からもだ、オズバルト公は話した。
「あの方こそです」
「我等の主に戴く」
「そうすべきですね」
「まさにですね」
「あの方をこそですね」
「そうすべきです、そして」
オズバルト公はさらに話していった。
「あの方をこそです」
「オズバルト公、まさか」
「卿はさらにお考えですか」
「マイラ様を」
「あの方を」
「そうです」
にこりともせずだ、黒いその目にある光をさらに強くさせてだった。オズバルト公は同志達にはっきりと答えた。
「まさに」
「マリー様ではなくですか」
「北の王国から来られる王子ではなく」
「あの方をですか」
「そこまでお考えとは」
「さもなければです」
まさにというのだ。
「我等に未来はありません」
「だからこそですか」
「至高の座」
「そこまで、ですね」
「お考えなのですね」
「公爵は」
「そうです」
こう言うのだった。
「我が国の旧教徒は日に日に減っていますね」
「王室の新教徒優遇政策の為」
「旧教徒は減る一方ですね」
「我々の同志も減っています」
「旧教徒の貴族にも」
「ですから」
その衰える状況の打破の為にもというのだ。
「私はそう考えます」
「何としてもですね」
「マイラ様に王になって戴く」
「その様に動く」
「そうされますか」
「そうです、幸い太子と帝国もその様に動いています」
それが為にというのだ。
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