第6章 流されて異界
第149話 告白。あるいは告解
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相馬さつき以外、全員が俺によって生命を救われている、……と言う事実があって、その事を歴史改変の際に一度忘れていたとしても、もしかすると思い出すかも知れない、と言うリスクが常に付き纏う学校に好き好んで通わせる訳はない。
冷静に考えるのなら、この程度のレベルには簡単に到達する事が出来るでしょう。
ならば何故、そのような危険な事を冷静で、更に聡明な彼女が為そうとしたのか。
それは……。
「俺の召喚を防ぐ術式には、ハルヒの王国能力の作用がどうしても必要だった。そう言う事なんやろう?」
俺の直球の問い掛けに対し、表面上は普段通りの淡々とした表情で小さく首肯く有希。しかし、心の内側の方は微かに動揺らしき感情の揺れを発して居た事は間違いない。
そう、この世界に召喚された俺が通うのなら、それはハルヒが居る北高校しかなかった。そう言う事。
おそらく、俺が居る事によって世界が多少なりとも楽しいと感じる事が出来たのなら、彼奴は無意識の内にその状態が続く事を願うはず。
そして、その願いは彼女の王国能力に少なからず影響を与える。
確かに、俺に直接影響を与えるような力はない……と思う。彼奴は自分のテリトリー内では絶対的な王として君臨出来るはずだが、俺はカテゴリーから言うと龍神。
つまり神。……かなり、能力は限定的だが。
王と言うのは大抵の場合が神から人界を支配する事が許された人間の事だから、王の命令に神が従う理由がないので、王国能力に俺が直接支配される事はない。
しかし、それは彼女の法に俺が直接支配されない、と言うだけの事で、間接的には支配される可能性はあると思う。
現状維持をハルヒが望む事に因って、俺をハルケギニアから再召喚する術の阻害を行う。
これが多分、俺に対するハルケギニアからのアプローチがなかった事の原因のひとつだと考えられる、と言う事。
種を明かして仕舞えば非常に単純な理屈。確かにハルヒの能力を間接的にでもあろうと、使用するのは多少の危険が伴う可能性はあるとは思う。しかし、先に考えたようにハルヒ自身、それにシュブ=ニグラス自体が歴史改変前の生活に戻りたいと考える可能性は非常に低いと思うので、有希の企みが悪い方向に転がる可能性は低いと思う。
ふたりだけの閉じられた世界に、こちらも淡々とした俺の声だけが響き続けた。
推理小説などでお馴染みの、犯人を前にした推理の種明かし。シチュエーションとしてはそう言う状況なのでしょうが、双方の姿が別の緊張感を産み出している現状。
そう感じた瞬間、そより、……ともしない風。濛々たる白い湯気に包まれた世界が夜の静寂に支配された。
俺の説明に納得した……のか、どうかは定かではない。しかし、彼女の瞳は真摯なままで、何かを待つかのように静
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