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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第149話 告白。あるいは告解
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 その理由が、この二〇〇二年十一月末から始まる一連の流れの発端。長門有希が俺をハルケギニアから召喚する事を決意するトコロから始まる事件の所為である……と思う。
 ……湖の乙女ヴィヴィアンと魔法使いマーリンに関する伝承に(なぞら)えて。
 もっとも、アーサー王の伝承の中の湖の乙女が、何故、マーリンを高い塔に幽閉したのか、その理由について詳しくは残されていないのですが……。

「まぁ、普通に考えたのなら俺を召喚したトコロで、俺をこの世界の学校に通わせなければならない理由はない」

 俺が普通の人間ならば、流石にこの年頃の少年が学校も行かずにぶらぶらとして居たのなら、それはそれで目立って仕方がなかったとは思いますが、俺は残念ながら普通の人間ではない。他者の目に映らなくする術など幾らでもあるし、有希にしたトコロで、俺と同じように飛霊を作って、その飛霊の方を学校に通わせ、二人だけの時間を過ごす方法だって幾らでもあったはず。
 ……むしろその方が、ハルヒや朝倉さん、朝比奈さん。それに弓月さんなどの、歴史が元に戻る前の世界で(異世界同位体の俺)と接触をした人間に直接接触しない事により、彼女らが妙な方向に弾けて歴史に悪影響を与える可能性が低くなるはず。

 しかし、何故か俺は北高校に通うように命じられた。
 水晶宮の方の意図は、その事により発生する事件を俺と有希の手により解決させる事。所謂、試練と言うヤツだと思う。当然、どうしようもなくなった場合に限り、何処かから俺たちの事を見守っていた奴らが現われて事件を解決する手はずは整えられていたと思う。
 ……俺が亮の立場に居た時は、そうやって奴らの成長を促していましたから。
 しかし、ならば有希は何故、そんな危険な状況に陥る事が分かって居ながら、俺が北高校へと通う事を容認していた?

 水晶宮の意図はどうあれ、俺が北高校に通う事を有希が拒絶すれば、水晶宮の方は彼女の意志を尊重したはず。少なくとも、俺を召喚するかどうかの判断を有希に任せた以上、その後の俺の処遇もすべて彼女に一任していたと思うから。

 ならば何故、彼女は俺が北高校へと通う事を容認していた?
 俺と共に学校に通いたかった?
 確かにその可能性はあるが、それはかなり低い確率だと思う。
 何故ならば、それはリスクが大き過ぎるから。
 もしその目的しか存在しないのならば、其処はわざわざ危険な北高校などではなく、もっと別の高校だったとしても問題はないはず。例えば、元々俺が暮らして居た世界で通っていた高校などでも可だと思う。
 ……ハルヒは未だしも、弓月さんが俺に接近し始めたぐらいで不機嫌になるような彼女が、同じ時間を俺と過ごしたいから、と言うだけの理由で、色々と因縁のある女生徒たちが多く通う北高校をその場所に選ぶ訳がない。

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