120部分:第十四話 死者の顔その七
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第十四話 死者の顔その七
「あの方は。独身でした」
「しかし。噂によればだ」
ミロが顔を顰めつつ言う。
「世界各地に愛人を持っているらしいな」
「おいおい、またそりゃすげえな」
デスマスクはそのことを聞いて意地悪そうな笑顔になった。
「じゃああれか?ガキが百人程いるっていうのかよ」
「デスマスク、それは幾ら何でも非常識ですよ」
ムウは笑ってその可能性は否定した。
「百人の子供なぞ。作れる筈がありません」
「普通はそうだな。まあちょっと行って来るぜ」
「そのお店にですね」
「何でも和食の店らしい」
このことはもうジャミアン達から聞いているのだった。
「結構楽しめそうだぜ」
「わかりました。それでは」
ムウが彼の言葉に応えた。
「事前偵察を御願いします」
「俺は味には五月蝿いからな」
これには自信のあるデスマスクだった。
「ちょっとやそっとじゃ合格点は出さねえぜ」
「しかし。和食か」
アルデバランは和食という部分に少し反応を見せていた。
「箸は使えるが。それでも」
「どうした?アルデバラン」
「牛肉は出るのだろうか」
「すき焼きがあるぜ」
デスマスクはすき焼きのことをアルデバランに話した。
「牛を薄く切ってな。そこに豆腐やら葱やら糸こんにゃくやらふやら入れてな。食うんだよ」
「そうか、すき焼きか」
「御前牛食うよな」
「うむ」
そのことは否定しなかった。
「御前と同じだ。俺の星座だがそれでもな」
「そういうのにこだわっていてはいられません
アフロディーテは冷静に述べる。
「それを言えば私は魚を食べることができません」
「俺もだ。山羊を食えなくなる」
シュラも同じ事情を抱えているのだった。
「それは困る」
「その通りです。和食は魚が有名だというとに」
「そういえばシャカは」
カミュはふとシャカについて考えた。
「ここにもいないな」
「彼は瞑想中です」
ムウがカミュに告げる。
「ですから今は」
「そうか。では仕方がないな」
「一応声をかけておくか」
ミロはさりげなく彼を気遣った。
「サガとアイオロスにも声をかけてな」
「そうだな、それがいい」
アイオリアが彼の意見に賛成する。
「一人でも多い方が楽しいものだからな」
「そういうことだな。じゃあそれでいいな」
「ええ。それで」
「辰巳さんのお店で」
「あのおっさんのことだ。出す料理は想像がつくな」
デスマスクはまた意地悪そうな笑みになった。
「蛸出して来るぜ、多分」
「蛸、といいますと」
「だからよ。あのおっさんの頭だよ」
ムウに対して言葉を返す。右手の人差し指を指し示すようにもしている。
「あのおっさんの頭。ほれ」
「ああ、そういうことですね」
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