第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#13
DARK BLUE MOONX 〜Dead Man's Anthology〜
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【1】
花京院とマージョリーがジョセフの部屋を訪れた折りより、
時刻は数時間前に戻る。
待ち合わせの場所に目当ての人物がいない事から、
携帯電話で彼に連絡を取り謎の女にけんもほろろに遮断された
空条 承太郎は(どうでもいいが本当に着信拒否にされていた)
完全に手持ち無沙汰となっていた。
特にアテがあるわけでもなく銜え煙草のまま香港の街を練り歩く。
花京院のコトが気にならないと言えば嘘になるが
別段 『スタンド使い』 に襲われたわけでもなさそうだし、
(もしそうならば相手はケータイには出ないだろう)
人の良さそうな顔をしているから強引な女に無理矢理誘われ
断り切れなかったのかもしれない(逆ナンとかいうヤツだろうか?)
まぁ自分のケータイに連絡が来ない以上それほど大事とは想えないし、
いよいよとなれば最悪逃げる位のコトは出来るだろう。
なんだかんだでアイツの判断力は信用しているし、
今は休暇なのだから別段神経質になる必要もないと想えた。
近代的な構造をした街並みに、海から吹き付ける風が緩やかに舞い踊る。
その中をマキシコートのような学生服の裾を靡かせながら
悠然とした歩調で歩く無頼の貴公子。
20分ほど無作為に歩き、やがて彼の脚を止めさせたのは街の一角、
正面に大海原を望むコトの出来る近未来的な造りの建物だった。
「……」
視界の開ける舗装されたアスファルトの先、
ガラスカーテン・ウォールのウェーブが輝く大型美術館。
アプローチを進んだ先、丹念に整備された芝生と白い噴水があり
エントランス前に館のシンボルなのか見上げるように巨大な
『龍らしき』 彫像が聳えている。
正面に設置された大理石のプレートは広東語なので解らなかったが、
その上に記載された刻字から 『DRAGON’S DREAM』
と読みとるコトが出来た。
どうも最近竣工されたらしいこの美術館は、
内部が全層吹き抜けの半屋外空間になっており
上層部に側面がガラス張りとなったブリッジが絡み合うように数本渡してある。
ソレが天空で覇権を争う龍をイメージしているのか
建築には詳しくないのでよく解らないが、
取りあえずの暇潰しには打って付けの場所に想えた。
(ほう)
エントランスを抜けロビーのアトリウムを見上げた承太郎は、
まずその内部構造の見事さにそう漏らす。
階下への採光効率ギリギリの太さを持つアーチは、その上半分がガラス張り。
一階おき、四十五度ずつズラして架けられた上三層のアーチと、
その上に張られた強化ガラスの大天蓋が最下層部から一目で見渡せる。
更に立体に交叉するアーチの構造美と、柔らかく降り注ぐ陽光の自然美が
それぞれ過不足なく空間の中
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