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恋姫†袁紹♂伝
第45話
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軍の兵力、討ち取った敵軍の数は、脚色して多く大きく見せるのが常だ。
 眼前の騎馬隊はどうだ? まるで一騎等百を証明せんとばかりに突撃してくるではないか!

 その勢いは何故か中央で止まった。近くに居た味方が歓声を上げる中、嫌な予感が男をよぎったが、この好機をみすみす逃すわけにはいかない。
 指揮官である男は、大炎を包囲する事を選択した。

 それが、煉獄の入り口であるとは気がつかずに―― 





 変化は、大炎が方円の陣を築いてからすぐに訪れた。

「しょ、将軍。あれは一体!?」

 砂埃だ。それが、大炎が居た場所を中心に大きく舞っている。
 部下の一人が驚いたのは、その砂塵が自軍に及ぼした異変に関してだ。

「兵が、吹き飛ばされていく……!」

 砂埃の正体は、方円のまま回転する大炎であった。
 車掛の陣。日ノ本の軍神、上杉謙信が用いた陣形である。
 本来の車掛は外からぶつけるのに対し、大炎は敵軍中央でこれを用いた。
 そして明確に違うのは―――()が徐々に広がっていく事である。





「凄まじい……!」

 さしもの星も驚きが隠せない。敵に包囲されると言う事は危機的状況である事が当たり前だ。
 にも関わらず、眼下では包囲された側が一方的に攻め立てている。
 大炎の周りは阿鼻叫喚の地獄絵図だ。矢は弾かれ、刃を通さない。
 そうでなくとも大炎は長槍を得物にしている為、間合いに入った者は即座に風穴を開けられる。
 苛烈な攻撃を潜り抜け、やっとの思いで槍を突き出しても小楯で弾かれる。
 そして大炎の槍を免れた者達は、彼らが作り出す濁流に飲まれ果てていくのだ。

 最早、蹂躙であった。

「成るほど。敵中で大炎が広がっていく様から“大炎開花”か」

「はずれ、開花するのはこの先よ」

「!?」






「被害は約二千! 将軍、こままでは……!!」

「馬鹿な、何故逃れられぬのだ」

 大炎の戦術の恐ろしさ、破壊力を早々に理解した敵軍の将は包囲を解こうとした。
 しかし、下がっても進んでも、右に左に動いても、回転し続ける大炎がぴったりと付いてくる。

 それを可能にしたのは回転の中央、空地と化した場所で全軍を見渡していた音々音だ。

「敵がまた東に動いたです、旗隊!」

「応!」

 彼女は専属の護衛の中で最も体躯が良い男の肩に乗り、仮の高台から敵軍を見渡していた。
 取り折矢が降って来ることもあるが、それは他の護衛達により防がれる。
 そして敵軍が移動したのを確認した後、目印となる旗兵と共にその方向へとゆっくり進む。
 円は音々音を中心に形成されているため、彼女が動けば円もまた連動する仕掛けだ。
 こうして大炎
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