第45話
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何も無いと高をくくれる方がおかしい。数に限るある駒を守ろうとした音々音の行動は理に適っており、師である桂花もその判断を褒めた。
そんな温い評価を良しとしなかったのが、音々音当人である。
大炎の専属軍師となって日は浅いが彼女には、大陸をまたにかける大将軍とその部隊の軍師であるという大きな自負があった。
その軍師が心理戦で遅れを取る。被害は出ていないものの、目標を逃していれば意味が無い。
そして、自分に課した汚名を返上すべく今回の戦術を編み出したのだ。
桂花と星が見守る中、ついに戦が始まった。
「大炎の初手は魚鱗の陣による騎突か、単純だが強力な戦法だ」
「今の大陸で、大炎以上の突破力は存在しないわ。対応を誤れば相手はお仕舞いよ」
敵軍は兵をV字のような形で配置、迎撃する構えだ。
「鶴翼か、しかしあれでは……」
「良く見て、広げた兵は少数にして中央を固めているわ」
「ふむ、大炎の足を止め包囲殲滅が狙いか」
重装兵で固められている中央に大炎が構わず切り込んでいく、その突破力に星は引き攣った笑みを浮かべた。
正面から迎えうった敵兵は殆どが大盾を装備していた。大炎の装甲とは比べるまでも無いが。
突撃する騎馬にとって厄介な障害物であることに変わりは無い。
それを呂奉先の矛無しに、速度を緩める事無く吹き飛ばす部隊が眼下にいる。
相対している敵軍からすれば、悪夢もいい所だろう。
「!? 大炎の勢いが中央で止まった!」
「違うわ、あれは止めたのよ」
突然のことに面食らう敵軍だったが、図らずも大炎を包囲する事に成功。
その馬脚に歩兵が群がらせ、騎突による突破を封じた。
その事態を受けて、大炎は群がる歩兵に対処しながら円陣を組む。
「方円の陣。あれでは防戦一方に……」
「それは違うわ」
星の分析に異を唱えた桂花は、頭上に疑問符を浮かべている昇り竜に――
「大炎の方円は攻めの前段階よ」
常識を覆す言葉を落とした。
――なんだ、何が起きている!?
敵軍の指揮官である男は目の前の事態が理解出来ない。
相手は自軍の十分の一である千騎。それでも油断はしなかった。
反董卓連合軍には参加していなかったが、目の前に居る漆黒の重装騎兵が大炎であることは知っている。
かの部隊一つで、反董卓連合軍を制することが可能だったという過大評価には鼻で笑ったが。
その突破力の高さは見て取れた。だかこそ、包囲殲滅するため工夫を凝らしたが――
待っていたのは規格外の突破力、男は目を疑った。
一騎等百の評価など誇張したものだと思っていた。そうでなくとも今の時代。
自
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