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101番目の舶ィ語
第十九話。螺旋
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価値はあるかもな。
問題はどうやって世界の歪みとやらを見つけるか、だが。
それもなんとなくなんとかなる気がする。いつも厄介事は向こうからやってくるからな。そのうち『世界のロア』とか、『歪みの管理者』とか出てくる気がする。
……なーんてな。さすがにそんなロアが出てくるはずないよな。ハハハッ! ……頼むから絶対出てくんなよ。絶対だぞ!
そんなことを思っていると。

「まさか、『死の予兆』をそのまま返されるとは思わなかったぜ? だが、私達はまだやられたわけじゃないんだぜ」

そう言ったアリサの後ろで、理亜がその口を開こうとしているのが見えた。
『夜話』を語る気か??

「音央!」

「うん! 『茨姫の檻(スリーピングビューティー)』??」

音央の声が響き渡り、そして感じる浮遊感。
俺の体を音央が抱き締め、そして空高く上昇していく。
『夜話を語られたら逃げる』。
音央には理亜が『朗読』始めたら逃げるように、と指示を出したおかげか、『千の夜話(アルフ・ライラ)』対策は万全だ。
そして、距離が離れたらアゾット剣で近寄ってくるから、先に茨の蔦で縛ってしまえば動きは封じられ、そしたらアリサ達は……。

「当然、そうくるよな!」

「行くぜー」

直後、青白い光線が放たれた。
俺は、その光線を敢えて受ける。
今回は逸らすことも、弾くことも、消すことすらしない。
しなくても俺は消えない自信があるからだ。
そして、青白い光線が直撃し、俺の意識は真っ白になった。
迷いも、恐怖も、勇気も、信頼も、全てが消えていく純白の世界。
ただひたすら『無』に帰す為にあるかのような居場所。そこは体や意志というものがなんの意味も持たない単なる『概念』となっていた。
『可能性』や『希望』みたいなものですら、一瞬で塗り潰されてしまった。
苦痛ではない。むしろ『安息』という感覚でいられる。
そして、この世界では『恐ろしい』といった感覚すらなくなって。
全て、頭の中は真っ白に。きっと、身も心もまっさらに塗り潰されるだろうな。
これが『死ぬ』というのなら、それは『安息』を受け入れるということ。
これがアリサが放つ結末なのだ。


だけど。


これが『信頼』というのなら、俺は絶対的に信用しているものがある。
これだけは絶対に塗り潰されないし、消されない。
俺が『主人公』になる前から決まっていた、絶対の理。
それだけは俺に何があっても変わらないもの。
一種の『女難』と言っていいもの。
『約束の場所』。
そこがある限り、俺の『全て』は……。

「俺の全てを塗り潰すことなんて出来ないんだぁぁぁあああ??」
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