第十八話。死の予兆
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点で反則だ!
「リアの弱点に気づいたのは流石だな、ハンドレッドワン! こいつの『千の夜話』は近い相手にしか聞かせられないからなっ。空の上じゃスナオがこっそり運んで聞かせるってのも無理だ。だが、だからこそ私がいるんだぜ?」
アリサが不敵に微笑みながら告げる。
「アリサさんは『千の夜話』を、すっごい遠くまで撃てるってこと??」
音央が俺の左腕の中に抱かれたまま、青ざめた顔をしながら尋ねる。
「ああ! ピンポイントに超遠距離まで精密に届かせることができるぜ! だからお前らがどこに逃げようが、確実に撃ち抜いてやる!」
音央の疑問に対して、アリサは肯定した。
「そして、撃ち抜かれたら音央の羽みたいに『ロアの能力』をかき消される。もしくは、直撃すればロア自身を消滅させることも出来る______というわけだね?」
「ご名答。その通りだぜ?」
俺の疑問もアリサは肯定した。
そっか。やはり、簡単に勝たせてはくれないか。
飛行すれば理亜の『千の夜話』とスナオちゃんの『赤マント』の空間転移能力は封じられる、なんて思ったけど。破天荒な『魔女』の存在でそれも意味がなくなってしまった。
「よーし、茨も解き終わったわ!」
スナオちゃんの方を見れば、無数の白い手によりアゾット剣に巻きついていた茨の蔦が解かれていた。そして、茨の拘束から解き放たれたアゾット剣は……。
フォォォン、と青白い光の尾を引きながら俺達の近くまで上昇してくる。
この距離だと理亜の『千の夜話』が届くが……既に『語り始めたら逃げる』を実践した以上、再び使ってくるとは思えない。
そして、どんなに遠くに逃げても精密射撃で撃ち抜かれるなら、近かろうが、遠かろうが……その距離に意味などない。近距離では『対抗神話』。遠距離では『死の予兆を込めた一撃』が放たれるのだから。
「さて、降参するかい、エネイブル?」
「まさか。『主人公』は窮地に陥ってからが本番だからね!」
「ハハッ、違いない!」
逃げ場が無い状況。無いなら作れ、と昔、強襲科で習ったが、現状だと逃げ場を作る為に行動する余裕もない。あの砲撃を一撃喰らっただけでアウトというのと、音央の能力では茨と羽くらいしか使えないからな。
だが、俺にはまだ切れる手札が残っている。
それは……『』の『消去』と『干渉』の能力。
さっき、閃いたが。
かなめの『ロアの世界』に『干渉』出来た『』の能力なら、『対抗神話』やアリサの『死の予兆』にも対抗出来るんじゃないか。
確証なんてないが。思えば今まで思いついた技が必ず出来るなんて思ったことは一度もなかったのに、なんとかなってきたから……
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