第十七話。予兆の魔女
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る。
______そうか。音央はまだまだ駆け出しのロア。その物語はまだ完成していない、多くの『可能性』を秘めたロアなのか。
彼女がどんな物語になるのかは、音央自身と『主人公』であり、『書き手』でもある俺が作っていくのか。
「ふぁ、あぁっ!」
俺の横にいる音央が声を上げ、自分の両腕で体を抱きしめた。
その体がほのかに光輝くのを見て、俺はかつてアリアが見せた現象を思い出す。
(これは『共鳴現象』?
いや、違う。この力は……)
アリアが見せた緋弾による共鳴現象とは違い、その力は俺にも流れ混んでくるのが解る。
それは『物語』の記録。すでに完成されている一之江やキリカ、鳴央ちゃんと違って、これから成長していく『妖精物語』の全て。まだ完成されてないからこそ、未知の力に音央は震えているのだ。
だから、俺はその物語を自身の本として共に歩むことを選択する。
その一冊が自身の物語として、共に成長していくことを許容する。
「一緒に成長するぞ、音央。俺もお前も、自分の進む道で!」
「うん!」
俺達がそう誓いあった途端に『妖精の神隠し』の物語が、俺の中に溢れ始めた。
可能性に満ち溢れる妖精の物語が今、俺と共に進化していく。
「『妖精の神隠し』!」
俺が口にした瞬間、イメージの中で手にした本が実体化した。
直後、俺は跳躍______いや、飛行していた。
「『妖精の羽』!」
『ロアの知識』に触れている俺にはそれがどんな技なのか、瞬時に理解した。
風の流れ、空気の流れを操作して、自由自在に空を飛ぶ能力。
背中に小さな透明な『羽』が生えているのが解る。
ああ、ついに俺は……空を飛べるようになっちまったのか。
なんだか、越えてはいけない一線を越えてしまった気がするな。。
自分が人間を本格的に辞めたようで、素直に喜ぶ気にはなれない。
「……人類の夢。『飛行』をこんな形で実現してしまうなんて……これ、夢だよな?」
ついつい、現実逃避をしてしまう。
「モンジ、現実逃避してないで戦うわよっ」
すぐ真横に浮かび上がってきた音央が、強気な視線を送ってきた。
俺達は地上から3mほど、浮かんでいる。
「ふはー、空を飛べるロアってのは結構少ないんだぜ。ま、『魔女』は箒さえあれば飛べるんだけどな。ってなわけで______」
アリサは空に浮かぶ俺達を見上げながら、自身のマントに手を突っ込み。
「行くぜ『アゾット剣』」
マントの中から______どう見てもマントに入らねえだろう、という突っ込みどころ満載な巨大な銃器を取り出した。昔、理子に無理矢理見せられたロボットものアニメに登場する銃器で戦う
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