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101番目の舶ィ語
第十七話。予兆の魔女
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モンジっ」

「ん?」

振り返ると、音央が真剣な顔をして俺を見つめていた。何故か口元を引き締めて、俺を睨んでいる。

「あたしだって、覚悟、決めてるんだから」

それは、俺が先ほど理亜に対して告げたことに対する言葉だった。

「だから、あんた、一人には戦わせない。あたしだって戦える、あたしだって、役に立てる。あんただけを苦しませない」

「……だったら、もう一人で戦おうとするな。お前は俺の腐れ縁な友達なんだから」

「ん……そうね。あんたなんかに気を使ったあたしがバカだったわ。むしろ、あんたに全部押し付けて楽にすれば良かったわ」

音央言葉に、俺達は笑い合う。
一之江やキリカとは違う、音央だからこその言葉。
その言葉や、態度に安心感を感じる。

「よし、行くぜ音央。お前の力貸して貰うからな」

「いいわよ。上手く使いこなしなさいよね!」

音央の言葉に頷いてから、俺は右手に持ったDフォンを強く握り締める。途端、右手の甲が熱くなり、その熱をアリサに向けて一気に真横に振り抜いた。
そこに一筋の赤い軌跡が生まれる。

俺は出来るだけ、厳かな雰囲気になるように真剣な口調で語り始める。

「さあ、不可能を可能に変える『百物語』を始めよう______」

直後、Dフォンが勝手に動作し、俺自身を写真に写す!
不思議な和音のメロディーが動作音として鳴り響き、辺りの雪景色が黒と金色のモノトーンカラーに包まれた。
俺の周囲を蝋燭の炎に似た無数の緋色の光が回転していく。
その炎が立ち込める中、俺は俺が思い描く『物語の主人公』の姿を取り始める。
俺が思い描いた姿は、全身は黒い背広姿で、その上から白のロングコートを羽織り、頭に黒いシルクハットを被っている。
『百物語』用のDフォンはモノクルに変化した。
右眼にそのモノクルを装着している。
見た目はかなり怪しい人物だが、一応学者や賢者っぽくも見えなくはない。
百もの物語を集めるならば、学者や賢者っぽい感じで。
不可能を可能に変えるなら……それはきっと探偵っぽい感じだろう、と思ってイメージした姿がこれだ!
ただ、普通の学者にはない……胸の内ポケットにホルスターを付けていて。
左右のホルスターには俺の愛銃、ベレッタM92Fsと黒いデザートイーグルが収められている。
さらに右手に握っていた『(エネイブル)』用のDフォンは緋色に光り、今や細身の刀。
直刀に近い形状の……スクラマ・サクスに変化している。

「へえ、それがお前さんが描いた『百物語』の主人公の姿か。人間を捨ててバケモノの側へのシフトチェンジってわけだな。ふむ……」

アリサが俺の状態を的確に指摘してくる。
どうやら『魔女』というのは好奇心旺盛で研究熱心なところがあるのはキリカもアリ
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