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101番目の舶ィ語
第十七話。予兆の魔女
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えってことか」

「話が解るじゃないか、さて……出せる本気があるなら出してみろよ?」

『本気を出されても、どうとでもなる』……といった感じに腕を組み、俺が行動を起こすのをアリサは待っている。

「解った。とりあえず、大切な妹を巻き込んだ責任はとって貰うからな?」

「おお、いいぜ。どーんと胸を貸してやるよ」

胸を叩いて得意げに語るアリサだが……いや、あの。
そのスレンダーな体のどこに借りる胸があるんだ?
そんなことを考えていると、様子を見守っていた理亜が意を決したように一歩前に進み出た。

「アリサさん、兄さん」

その口から出た声は震えていて、今にも泣き出しそうなくらいか弱く、儚さそうな感じに聞こえるが理亜はなんとか声を張り詰めて、俺とアリサの名を呼ぶ。

「正直、私は迷っています。兄さんの先ほどの言葉に対する返事がまだ出来ていません」

その目からはまだ涙の跡が残っていて、戸惑いを残しているように感じるが。

「だから、私も戦います、アリサさん。私も戦って、兄さんの意志が本当なのか……確かめます」

すぐに強い視線になって、俺を見据えたのを俺は見過ごさなかった。

「私は構わないぜ。だが、その兄さんは妹に手を上げられないんじゃないか?」

確かにその通りだ。切れかけているとはいえ、ヒステリア性の血流が残っている俺には、妹を攻撃することなんかできやしない。いや……例え、ヒステリアモードじゃない普段の俺でも、妹に攻撃なんかできない。
……返り討ちに遭いそうだしな。
だが、それでもやらなければならないのなら俺は。

「俺も構わん。それで理亜が納得するのなら、俺は理亜に覚悟を示す。『千の夜話(アルフ・ライラ)』を攻略してやるよ」

そんなことが出来る確証なんかない。
勝てるかどうかなんか、解らない。
多分、出来ない可能性の方が高いだろう。分が悪い賭けをしてるのは重々承知だ。
だが、それが何だ!
分が悪いなんて、いつものことだ。

「だとよ。そんな自分を攻撃出来ない兄相手に、非情になって本気で戦えるのか?」

アリサが意地の悪い質問を、意地の悪そうな顔で理亜にした。。

「戦えます」

そんなことを言われた理亜の答えは即答だった。
理亜のその態度に満足そうに、アリサは微笑む。
きっとアリサは悪い奴ではない。
だが、やはり『魔女』だけあって、油断できない。
そこには人間のような情や常識、倫理観なんかないのだから。
それに、どんな理由があろうと、大切な妹達を誑かし、苛酷な運命を選ばせたこの『魔女』を俺は許せそうにない。例え、それが理亜の命を救う為であっても。
俺はこの魔女を許しはしない。だから、躊躇わずに自分のロアとしての『力』を使うことにする。

「も、
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