第6部 贖罪の炎宝石
第1章 帰省
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道中の世話といってもほとんどさせることはない。
そんなことよりも、エレオノールはルイズの使い魔であるウルキオラのことが気になって仕方がなかった。
さて、そんなルイズの内心は穏やかではなかった。
この帰省が一筋縄ではいかないものであったからである。
アルビオンへの侵攻作戦が魔法学院に発布されたのは、夏休みが終わって二か月が過ぎたころ……、先月のケンの月のこと。
何十年かぶりに遠征軍が編成されることになったため、王軍は士官不足を喫したのである。
そのため、貴族学生を士官として登用することになった。
一部の教師や、学院長オスマン氏はこれに反対したが、アンリエッタに枢機卿、王軍の将軍たちはこの反対を抑えた。
勉学は戦争が終わってからだ、とまで言い切った。
しかし……、ルイズが実家に「祖国のため、王軍の一員として強き使い魔とともにアルビオン侵攻に加わります」と報告したら大騒ぎになってしまった。
従軍はまかりならぬ。また、使い魔の力など底が知れる。信用ならぬ。と手紙が届き、無視したら、エレオノールがやってきた。
当然、ルイズは機嫌を損ねた。
従軍まかりならぬとは何事であろうか?
今や国中の練兵所や駐屯地では、即席の士官教育を受けている学生たちでいっぱいなのである。
ほとんどの男子学生は戦争に行くことを選んだのである。
さらに、それをウルキオラに愚痴ったら、「わざわざ報告するとは、馬鹿を通り越してゴミだな」と言われてしまったため、更に機嫌が悪くなった。
自分は女子であるが、女王陛下の名誉ある女官である。
しかも今回の侵攻作戦では、ウルキオラを引っ下げて任官するのである(ウルキオラは承諾していない)。
ルイズの『虚無』、そして、ウルキオラの『圧倒的な力』にかける期待が高いことがわかる。
枢機卿であるマザリーニは、ウルキオラの了承の基、アンリエッタから内密であることを条件にウルキオラの話を聴いていた。
つまり、トリステインの女王と枢機卿という二大権威は、自分とウルキオラの力を王軍の切り札と考えているのだ。
トリステイン貴族として、これ以上の名誉はない。
そりゃあ、戦は確かに好きではない。
でも、自分の祖国と姫様のために微力を尽くしたいのだ。
ウルキオラはともかく、『虚無』の力を与えられた自分には、祖国に忠勤を励む義務があるのだ。
祖国への忠義は、名門ラ・ヴァリエール家が誇るべきところではなかったか?
それなのに実家は自分の従軍に断固反対のようであった。
「まったくあなたは勝手なことをして!戦争?あなたがいってどうするの!いいこと?しっかりお母様とお父様に叱ってもらいますからね!」
「で、でも…
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