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Blue Rose
第二十二話 心と身体その一

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                 第二十二話  心と身体
 優花は実感していた、まさに一日ごとに。
 身体が変わってきていた、そしてだった。
 自分の部屋に来てくれた看護士、若い女性である彼女にこう言った。
「声変わりましたね」
「ええ、もう八割はね」
 看護士も自分と共に掃除をする優花に答える。
「女の子の声になってるわね」
「ソプラノですね」
「私音楽には詳しくないけれど」
 だからソプラノといってもはっきり答えられないがというのだ。
「けれどね」
「それでもですか」
「女の子の声になっていることは私でもわかるわ」
「そうですか」
「それもかなり高い声ね」
 女の子の声の中でもというのだ。
「相当に」
「やっぱりそうですね」
「ええ、蓮見さんの声は元々高かったけれど」
 テノールというよりはボーイソプラノというものだった。
「今はね」
「もっと高くなってますか」
「それで女の子の奇麗さになってるわ」
「声の色もですか」
「男の子の声の奇麗さからね」
「女の子のですか」
「声優さんによくある様な声ね」 
 看護士はこう表現した、優花の今の声を。
「どちらかというと」
「声優さんですか」
「可愛らしい声よ、アイドルにもなれそうな」
「僕の声はそうなっていますか」
「声もそうだし」
 ここでこうも言った看護士だった、優花を見て。
「喉仏は完全になくなったし背もね」
「どんどん小さくなってますね」
「ええ、身体つきも丸くなってきていて」
「体毛も何か」
 元々薄かったそれもだった、優花は毎日の入浴でそのことを自分で見ていた。
「薄くなってきています」
「今以上にね」
「特に胸が」
 優花はこのことも自分で言った。
「徐々に」
「そうよ、この前のレントゲンだけれどね」
「どうなっていました?」
「身体の中はかなり変わってきているわ」
「骨格や内蔵が」
「そう、具体的に言うと赤ちゃんを産める様な」 
 生物として女性だけが出来ることが出来る様になっているというのだ。
「そうした身体になってきているわ」
「そうですよね」
「自分でもわかるわね」
「はい、一日ごとに変わってきていることが」
「そうよ、男の子からね」
「女の子になってきていますね」
「確実にね」
 それこそという言葉だった。
「貴方は女の子になってきているのよ」
「そうですね」
「怖くないわよね」
 看護士は優花のその中性的、いや少女の顔を見て問うた。
「そうよね」
「はい、もう」
 そうだとだ、優花は看護士に答えた。
「わかっていますから」
「女の子として生きてね」
「大人になってからもですね」
「そうよ、女の人として生きるのよ」
 今だけでなく、というのだ。
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