111部分:第十三話 帰還してその四
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第十三話 帰還してその四
「まだな。決め付けるのはかえって危険か」
「狂闘士達の動きがですか」
「そうだが。まだ最初では何も言えないな」
「お言葉ですがその通りだと」
「やはりな。よし、サガよ」
あらためて彼に声をかけた。
「御前も下がれ。次の任務まで双児宮の護りについていてくれ」
「はっ、それでは」
サガもまた一礼して教皇の前から姿を消す。一人になったシオンは暫く考えていたがやがて退室した。後には誰も残ってはいなかった。
己の巨蟹宮に戻りに教皇の間を出ようとするデスマスク。しかし彼のところにジャミアン達がやって来た。そしてデスマスクに対して声をかけてきた。
「あの、デスマスク様」
「御前等かよ」
「ええ、まあ」
少し腰を低くさせてデスマスクに応えるのだった。
「何だ?もう教皇への挨拶は終わったぜ」
「いえ、そうではなくてですね」
「あの、仕事終わりましたよね」
「ああ」
彼等の言葉に頷く。見れば彼等はまだ聖衣を着てはいるがそれでもかなりリラックスしだしていた。そうしてデスマスクの前に来たのだ。
「今な。しかしそれがどうしたんだ?」
「仕事終わりましたんならその」
「俺達とまあ」
「一杯ってわけかよ」
「ええ。どうですか?」
ジャミアンが申し出てきたのだった。
「デスマスク様さえよかったらですけれど」
「いい店知ってるんですけれどね」
「いい店か。聖域にか?」
「いえ、アテネにです」
ディオが言う。言うまでもなく聖域はアテネにある。しかしアテネの市民達の殆どはこの聖域の存在を知らない。何故なら聖域は言うならばアテネの裏、普通の人々が決して入ることができない場所にあるからだ。教皇の存在も大国の限られた者達しか知らない。
「アテネにあるんですよ、いい店が」
「和食の店でしてね」
「和食か」
デスマスクは和食と聞いて少し微妙な顔になった。
「っていうとあれか?グラード財団のやってる店か」
「ええ、そうです」
「あそこなんですけれどね」
「あのタコ親父が出て来るのか」
デスマスクは腕を組んで述べた。
「辰巳のおっさんもなあ。日本とこっちをあれこれ行き来してるよな」
「ええ、そのおっさんが支配人ですよ」
「自分でも包丁振るっていますし」
「あれだけ忙しいのによくやるよ」
減らず口めいて言うデスマスクだった。
「全くな。しかしあのおっさんの料理か」
「どうですか?刺身とか天麩羅とか」
「寿司もありますよ」
「日本に行った時はいつも食ってるけれどな」
イタリア人らしくそういうことには造詣の深いデスマスクだった。顎に右手を当てて考える顔になっている。
「そういうのはな」
「じゃあいいですよね」
「行きます?」
「後でな」
しかしここで
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