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約1つのラベルと心臓
第n+5話 目玉焼きのどろどろ踊り
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ました』
「なんだそりゃ」
『日本でも、病は気から。二束三文の薬。なんて言われていますね』
「後半聞かねぇな」
『頭文字を取ってやきにくと覚えてることでしょう』
「それ言いたかっただけだろ」
『ともかく、この世界の家畜のお肉は、踊りや歌で仲間との別れを惜しみながら、逐次自ら調理されていきます』
「んなこともあるんだな」
『肉が赤くなると医者も赤くなるってやつです』
「赤くなるのかよ」
『恋の始まりですね』
「片方精肉だぞ」
『愛の前では食物連鎖など敵ではありません』
「そういう問題かぁ?」
 夏雄はタレに浸って冷たくなった肉を見下ろした。
「……これもちょっと前までは動いてたわけか」
 網の方ではジュージューと美味しそうな音がする。
「でも、食べないってわけにもいかないしな」
 夏雄は箸を手に取ってタレまみれの肉を1口で食べた。
 少し塩辛いながらもなかなか美味しいなとぼんやりと思いながら咀嚼していると、


 日本に戻ってきた。取り敢えず夏雄は肉を飲み込んだ。なかなか美味しかった。
 もう少し食べたかったが帰ってきたものは仕方が無いので、いつものように付箋を確認した。
『ハツの焼き肉を食べて牛を殺す』
「食育かなんかかよ」
『PS. 残ったお肉は私がタッパーに詰めておきました。明日の弁当を四字熟語で表すなら焼肉弁当です』
「前置きいらんだろ」
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