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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百五十三話 第一次フェザーン侵攻作戦
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ーンは反乱軍に援軍を求めるのではないだろうか?

帝国が内乱で増援を送れない、そう見た場合、反乱軍を引き入れ帝国軍と戦う。勝てば軍事的な損失はもとより、交易の遮断を継続する事で帝国内部に混乱を長引かせる事が出来るだろう。フェザーンにとってはむしろ千載一遇の機会と言えるのではないだろうか。

ルビンスキーがそう考えても可笑しくないほど帝国とフェザーンの関係は悪化しているように俺には思える。そのあたりを司令長官はどう考えているだろう。

「閣下、それを覚悟の上でフェザーンが反乱軍と結ぶ事は無いでしょうか?」
俺は司令長官に問いかけ、先程からの疑問を提示した。シュムーデ、リンテレン、ルーディッゲも時に頷き、声を上げ同意を示す。

ヴァレンシュタイン司令長官は俺の疑問に不機嫌そうな表情は全く見せなかった。むしろ何処か楽しそうな表情で俺を見ている。

「ルックナー提督の懸念はもっともです。もしそうなれば帝国もかなり苦しい立場に追いやられます。しかし今回はその可能性は先ず無いといって良いでしょう」
「……」

「帝国、反乱軍、フェザーン……。三者の内二者が手を結ぶ場合、常にフェザーンが誰かの手を握っているとは限りません」
「!」

さり気無い言葉だった。しかし内容は重大だ。思わず、シュムーデ、リンテレン、ルーディッゲと顔を見合す。彼らの表情も驚きに満ちている。
「閣下、閣下は既に反乱軍との間に何らかの協力体制を築いているのでしょうか?」

シュムーデ提督の小声での問いかけに司令長官は軽く頷いた。その様子に俺は改めてシュムーデ、リンテレン、ルーディッゲと顔を見合わせる。彼らに先程までの驚きは無い。どこか心配げな表情をしている。

「大丈夫なのですか、周りに知られたら問題になります」
「大丈夫ですよ、ルーディッゲ提督。この件は私の独断ではありません。帝国軍三長官の合意事項ですし、反乱軍との折衝はリヒテンラーデ侯が主体となってやっていることです」

応接室にほっとした空気が流れた。その空気の流れに乗るかのように司令長官の声が流れる。
「反乱軍との間では内乱終結後に互いに抱える捕虜を交換することで合意が出来ています。シャンタウ星域の敗戦で兵力不足に悩む反乱軍にとって捕虜を返してもらえるというのは何よりも有難いはずです」

捕虜交換か……。確かにその話が宇宙艦隊司令部の作戦会議で出たとは聞いている。もう反乱軍との間で合意が出来ていたのか。

「つまり捕虜交換までは反乱軍との間に協力体制が取れると?」
司令長官はシュムーデ提督の問いに頷きながら話しを続けた。
「内乱が発生した時点で、捕虜交換を発表します。この時点でフェザーンが不利を悟って交易の遮断を放棄してくれれば良いのですが……」

「放棄しなかった場合は?
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