第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#12
DARK BLUE MOONW 〜Harmit Tracer〜
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対し花京院は淀みのない口調でサラリと、
「こちらの御婦人の、生き別れた父親なのです」
(なぁッ!? だ、誰が!!)
予期せぬ言葉にマージョリーは声を上げて激高しそうになるが
辛うじて言葉を呑みこむ。
その彼女の細い腰元でマルコシアスがクックッと笑いを噛み殺していた。
「どうやらいま、この香港の街におられるようなのですが正確な居場所が解りません。
何よりこちらの御婦人、マージョリーさんはビザの滞在期限が迫っていまして
今日と明日の二日しかこの国に居る事が出来ないのです。
なので何とか、ジョースターさんの力をお借り願えないかと想いまして」
「……」
即興で、微笑混じりにスラスラと嘘八百並べ立てる花京院を見ながら
マージョリーは、実はこいつ凄くコワイ奴なんじゃないかと密かに想う。
一方説明を受ける老人は彼の言葉を疑う様子はなく、
両腕を組みながらふむふむと頷きながら聞いていた。
「う〜む。そういう理由ならば協力するのにやぶさかではないのだが」
歯切れの悪い感じでジョセフはそう言った後、
再び花京院に顔を寄せヒソヒソ話を始める。
「……しかし、あの御婦人はワシの 『スタンド能力』 のコトを知っておるのか?
幾ら “視えん” とは言ってもな。 『念写』 した後のコトはどう説明する?」
「大丈夫。非常に聡明で理解力の在る女性です。
事前にここで見聞きしたコトは他言しないと了承を取ってあります。カメラは?」
「まぁ君がそう言うのなら、特に心配する事はなさそうじゃが」
ジョセフからその保管場所を聞き、年季の入った旅行鞄の中から
精巧な一眼レフカメラを取り出した花京院は、
それを大理石テーブルの空いたスペースに置く。
ジョセフはその前に座り、意志を集中させた瞳でソレに向き直る。
そして己の右掌を見据えスタンドを発現させる瞬間、
「さて、お嬢さん?」
くるりとソファーの後ろを振り向き腰の位置で腕を組んで佇むマージョリーを見た。
「これから、少々不思議な光景をお見せするが別に怖がる必要はない。
人間なら誰しもが持っている、他人とは少しだけ違った 『能力』 じゃ。
そう、貴女のその美しい姿と同じようにな」
穏やかな声でそう告げ、まるで真冬の太陽のように温かな笑顔を自分に向けてきた。
視る者全てに安らぎを与えるようなノリアキのソレとはまた違った雰囲気。
「……!」
お嬢さんと呼ばれたコトや、自分に対する畏怖や猜疑が全くない表情に
マージョリーは想わず口籠もる。
それは当然ノリアキがこの老人に充分信頼されているといったコトの
裏返しなのだろうが、でも何故か、不思議と温かな感情が心に沁みてくる。
「……」
何も言えずジョセフという老人の顔を見つめ返すしかなかった自分に対し、
彼は
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