装甲車両解説(日本編)その1
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の戦車に比べて横幅を狭く設計していることと、各部の装甲を薄くすることで軽量化を図ったことによると思われる。
しかし軽量だからといって他国の戦車より装甲防御力が劣っているわけではなく、高性能な複合装甲を採用したことで90式戦車の砲塔前面と車体前面の装甲防御力はM1A2戦車と同等かやや上回るレベルともいわれており、
試作車を用いた耐弾試験ではラインメタル社製120mm滑腔砲の零距離相当射撃が4発以上命中したにも関わらず、ほとんど機能に影響が見られなかったという。
90式戦車の複合装甲の詳細は重要機密であるため公表されていないが、防弾鋼板の箱の中にチタン合金で拘束したセラミック板をハニカム構造に何層も敷き詰めた構造になっているのではないかと推測されている。セラミックは非常に硬度が大きく耐摩耗性に優れているため、特にAPFSDSのように細長い侵徹体を高速で突入させるタイプの運動エネルギー弾の装甲貫徹力を大きく減少させる効果がある。
また成形炸薬弾に対しては、発生したメタルジェットがセラミックを穿孔する際に剥離したセラミック片がメタルジェットを側方から押し包んで流れを妨害するため、通常の防弾鋼板に比べて圧倒的に高い防御力を発揮する。一説によると、
90式戦車の複合装甲は成形炸薬弾に対して1500mm厚のRHAに相当する防御力を備えているといわれる(M1A2戦車の劣化ウラン複合装甲は成形炸薬弾に対して1300mm厚RHA相当の防御力)。側面は35mm徹甲弾の掃射に耐えうる性能があり、上面は榴弾の破片に耐えうる耐弾性能を有しているとされる。
また90式戦車は61式、74式戦車には装備されていなかったサイドスカートが装着されており、車体側面の防御力を向上させている。このサイドスカートは圧延防弾鋼板製で、厚さは8mm程度と薄いため運動エネルギー弾にはあまり効果が無いと思われるが、車体側面装甲板とサイドスカートとの間の空間が中空装甲の役目を果たしているため成形炸薬弾の装甲穿孔力を減少させるのには有効である。
90式戦車のエンジンは、三菱重工業が開発した10ZG32WT 90度V型10気筒液冷ディーゼル・エンジンが搭載されている。日本の戦車のエンジンは旧軍時代から一貫して空冷ディーゼル・エンジンが採用されてきたが、90式戦車のエンジンは従来よりはるかに大出力であるため空冷方式では冷却能力が不充分で、より冷却能力に優れる液冷方式が採用されたのである。
車体の砲塔左下側に操縦士が乗車する。
操縦席には、位置可変T字型操向ハンドル、電気式アクセルペダルや常用ブレーキ、アシストシリンダー付の駐車ブレーキなどの操縦装置、57個のボタンや計器類がある。ペリスコープにはワイパーが備わる。車体底部に燃料タンク、後部に冷却ファンとそ
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