装甲車両解説(日本編)その1
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おり、普通科隊員7名から成る完全装備の1個班(分隊)を収容することができる。
兵員室内には背中合わせに6名分のシートがあり、背もたれの間は79式対舟艇対戦車誘導弾および35mm機関砲弾の弾薬庫となっている。
兵員室には、天井と車体後部にハッチが設けられており、
通常の乗降は車体後部の観音開き式のハッチから行なう。
兵員の乗車射撃は、兵員室天井の左右開き式のハッチを展開して行なうことも可能だが、車内から隊員が射撃できるよう、防弾ガラスを使用したガンポートが車体両側面各3基と車体後部扉の1基、計7基が設けられている。
内部のハンドルを上げると展開し、89式5.56mm小銃を被筒部まで差し込んで射撃できる。このガンポートは装甲の弱点になるため時代遅れであるという評価があるものの、イスラエル国防軍のナグマホンのように、新型の装甲車であってもガンポートを採用した例も存在する。なお、ガンポートとは別に兵員の外部視察用ペリスコープも8ヶ所に設けられている。
ガンポートには照準用の小さなガラス窓がはめ込まれており、諸外国のIFVのようにやや離れた場所にあるペリスコープを使って照準をする場合よりも、命中精度を重視していることが感じられる。砲塔は2名用で車体と同じく圧延防弾鋼板の全溶接構造であり、
砲塔内右側が車長席、左側が砲手席となっている。
武装が強力で同級のIFVはもとより敵MBTとの交戦能力も備え、同世代の90式戦車との共同運用能力を持つことは89式装甲戦闘車の優れた点だが、こうしたカタログ・データに現れない問題点には90式戦車と同様、価格の高いことが挙げられる。通常このようなIFVとMBTとで機甲・機械化部隊を構成する場合には、前者の数が後者の1.5倍から2倍必要だが、89式装甲戦闘車では1両当たりの価格が7億円弱と世界で最も高額になってしまっているため、年間の調達数は数両に留まっており、
長期間に渡って充分な数を揃えられないことが構造的な問題になっている。
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