100部分:第十二話 ベルゼブブのカナンその一
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第十二話 ベルゼブブのカナンその一
第十二話 ベルゼブブのカナン
対峙をはじめたデスマスクとカナン。デスマスクは不敵な笑みこそ浮かべているが前に出ようとはしない。カナンはそれを見て彼に言ってきた。
「どうした」
「どうしたって何がだよ」
「何故来ない」
このことをデスマスクに対しても直接問う。
「先程までの威勢はどうした」
「へっ、その手には乗らねえぜ」
しかしデスマスクはここでも軽く笑って動かないのであった。
「残念だがよ」
「ふむ。挑発を得意としているだけはある」
カナンもまたこれ以上言おうとはしなかった。
「自分が受けても動かぬか」
「わかってるんだよ」
そしてこうも言うデスマスクであった。
「もうな。手前は確かに強え」
「私は確かに強い」
カナンは謙遜するでもなく今のデスマスクの言葉に応えた。
「それがわかっているからこそ動かぬか」
「迂闊に動いたら死ぬのは俺だ」
これまでとはうって変わって慎重なデスマスクであった。
「お互いにな。そうだろ?」
「確かにな。だが」
「だが。何だ?」
「ベルゼブブという魔神について知っているか」
目を閉じたうえでデスマスクに対して問うのであった。
「我が魔神ベルゼブブについては。知っている筈だ」
「蝿かよ」
嘲るようにして笑ってカナンに答えてみせた。
「巨大な蝿の魔神だったな。違うか?」
「かつては神だった」
「それも知ってるぜ」
すぐに答えるデスマスクであった。
「確かバール神だったよな」
「それも知っているか」
「それが転じて魔神となった」
「そう。だがその力衰えているわけではないと言っておこう」
「へえ、面白いねえ」
こう言葉を返しはするが目も顔も全く笑ってはいなかった。
「手前が神だとでもいうのかよ」
「私は神ではない」
だがカナンは今のデスマスクの言葉は否定した。
「それは言っておく」
「じゃあバール神は何なんだ?」
「あくまで魔神。仕えるべき神がおられるのだから」
「アーレスってのは好きじゃねえな」
今度は嫌悪感を露骨に見せてきた。
「俺はよ。威張り腐った神様は嫌いなんだよ」
「神というものを理解していない愚か者が」
カナンにしてみればデスマスクはどうしてもこう思えるのであった。これは彼とデスマスクの大きな、そして決定的な違いであった。
「貴様とこのことについてこれ以上話をしても何の意味もない」
「そうだよな。早くはじめようぜ」
「安心しろ。私は動かん」
「慎重策ってわけかよ」
「何とでも言うがいい」
こう言ってやはり動かないのだった。
「といっても貴様は何かするつもりか」
「さてな」
不敵に笑って今は答えないのだった。
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