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GATE 株式会社特地電工 〜彼の地にて 斯く戦えり〜
第一部
事務所が無い?!その3
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、パスをとって身分証明書を持ってから、またこちらに訪ねてきてください」
「どうも、ありがとうございます」
そう言ってきびすを返し、教えていただいたビルに行く。大通りに面しているので小綺麗ではあるが、ちょっとお役所っぽい張り紙の掲示物・案内だらけになっている。もともとの商業施設だったところを、どうやらこの辺り一帯すべてビルは政府系の組織に借り上げられているのだろう。
銀座の一等地にお役所、さぞかし借り上げにはお金がかかることだろう・・・
GATEはもうちょっと田舎のほうに引っ越すことは出来ないものだろうか?
ビル一階入り口の注意書きの一つに、
「GATEを通行される方は所定の手続きと許可が必要になります。」
と、赤い字で書かれていた。
階段を上がりながら考えていたのだが、そう仰々しく書かれると少し不安だ。
お役所の窓口ってかんじで、手続きであちこち回るんだろうか?
以前、知人から自動車を譲って貰ったとき、登録移転で陸運局へ行ったときは酷かった。窓口をいくつも訪ね歩く羽目になって、結局、ナンバーを付け替えるのに3時間近くもかかった。スタンプラリー的なゲームか何かだと思わないとやってられないなって思った。・・・結局、どうやったら「勝ち」なのかルールは分からなかったけど。
階段を上がりきったところで思い出した、東京駅でダメ上司が別れ際に行った言葉、「中に先方の住所書いたメモ入ってるから」って。
紙袋の中をのぞき込んでみると、少し厚手のカードに、
「アルヌスの丘2丁目3−15」
とだけ書いてあった。電話番号は無い。従って、先方にアポを取ったり、道順を尋ねることも出来ない。あのクソ上司、なんて迷惑な・・・推理でもしろってが?
しかし、今やこのメモだけが、唯一の手がかりだ!
ポクポクポク・・・チーン!
謎は全て解けた!じっちゃんが死にかけて!
いや、ちがう、金田一ごっこで遊んでいる場合では無い!
それに謎は謎のまま、これだけじゃ皆目分からん、無理ゲーだ!
しかも、これから訪ねる受付の人に聞いてしまう謎解きだ!これではとうてい謎ときとは言えない。
こんなことでは立派な金田一君にはなれないな。
そのメモとやらが、この手続きでとても重要だと思い知るのは・・・この後、窓口を8カ所たらい廻されて、HP/MPがすっかりすり減った後の事だった。
だが、この時点で私はそれを知るよしも無かったのだった。
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