第十一話 葬儀と即位その十二
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「私はここから去るしかなくなる」
「はい、我等もです」
「この国にいられなくなります」
「まさにです」
「そうなってしまいます」
「この国を得られなくなる」
具体的な言葉だった、実に。
「それは避けたい」
「先王も崩御されましたし」
「姫様もです」
「帰るしかなくなりました」
「妹は気の毒だった」
王妃であった彼女のことにもだ、太子は言及した。
「折角嫁いだのにな、しかしだ」
「はい、この度のご結婚は残念でしたが」
「次のお相手がおられます」
「次のお話のことはもう、ですね」
「本国でお話されていますね」
「その様だ、父上が本国の重臣と進めておられる」
太子、そして妹姫の父である皇帝がというのだ。
「次の相手のことはな」
「もうですね」
「既に進めておられますね」
「ならばですね」
「我等は」
「そうだ、妹は先王の崩御は忘れてだ」
そしてというのだ。
「次の幸せに向かえばいい」
「そうですね」
「ロートリンゲン家ではこれまでもよくあったことです」
「伴侶の方が先立たれることは」
「ですから」
「その時は決まっている」
それで終わりではないのだ、寡婦になるということはロートリンゲン家の考えにはないことなのだ。これまでも今もこれからも。
「今言った通りだ」
「次ですね」
「次のご結婚ですね」
「そうなりますね」
「そうだ、だからだ」
それでというのだ。
「妹もそうなる、我が家は婚姻の家だからな」
「婚姻により栄えてきた」
「それ故にですね」
「姫様もですね」
「そうなりますね」
「そうだ、ではだ」
それ故にというのだ。
「妹は間もなくこの国を去らねばならなくなるが」
「我々は慰めそしてですね」
「新しい門出を祝う」
「そうしますか」
「是非だ」
それはとういうのだ。
「そうしよう、では」
「はい、宴はですね」
「姫様の新しい門出を祝う」
「そうした風にされますね」
「人が死ぬことは悲しい」
太子もこの感情は否定しない、如何に国の為とはいえ妹が王に情を感じていたことは察している。それでこうも言ったのだ。
「それだけでな」
「ですが、ですね」
「人はその悲しみを乗り越える」
「そうしていかねばならないこと」
「それで、ですね」
「姫様については」
「その悲しみを癒し」
そしてとだ、側近達も言うのだった。
「新しい門出を祝う」
「そうしたものにされますね」
「では、ですね」
「楽しい宴にしますか」
「そうしたものに」
「是非な、では妹を見送る宴の用意もする」
見事な杯を手にして言う。
「やることは多いがな」
「この度の宴もですね」
「その中に入りましたね」
「では姫様の新しい門出を祝い」
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ