第十一話 葬儀と即位その十一
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「これまで通り夜は共に過ごそう」
「そしてお子をですね」
「もうけられますね」
「そう出来なけれど何もならない」
まさにというのだ。
「何もな」
「婚姻を結んでもですね」
「そうしてもですね」
「お子があってこそ」
「だからですね」
「そうだ、子はもうけてこそだ」
太子自身も言う。
「それも出来れば何人もですね」
「もうけてこそ」
「だからお后様との間にですね」
「お子をもうけられる」
「そうされますね」
「その為にはだ」
それこそというのだ。
「毎晩だ」
「床を共にされる」
「そうされますね」
「私は私の務めを果たす」
こうも言ったのだった。
「ロートリンゲン家の者としてのな」
「では」
また医師が言ってきた。
「そうしたものをですね」
「食べていき、だな」
「飲まれますか」
「それはいい」
あっさりとだ、太子は医師に答えた。
「それには及ばない」
「太子の場合は」
「そうだ、そこまではな」
「お身体はですね」
「丈夫なつもりだしな」
そうしたものに頼ってまで子供をもうける必要はないというのだ。
「だからだ」
「それはいいですか」
「そうだ、むしろだ」
「お后様ですか」
「自分をいじめ過ぎているな」
「心身共にですね」
「元々は頑健な身体だな」
太子はマイラの健康のことをだ、医師に問うた。
「そうだな」
「はい、私の見立てではです」
「やはり丈夫だな」
「ですがあまり召し上がられず」
「朝早くから夜遅くまで起きてだな」
「学問に励まれ過ぎています」
「休むことなくな」
マイラらしくとだ、太子は言った。
「そうなのだな」
「ご幼少の頃からそうしたご生活とのことで」
「だからだな」
「健康はです」
どうしてもというのだ。
「思わしくないかと」
「私よりも遥かにだな」
「お顔の色がよくありませんね」
「私から見てもだ。しかも夜は王家の者の務めを果たそうとする」
太子に対してだ、このことにも必死に励んでいるというのだ。ただこれもまた王家の者の務めと考えていてであり好きではないのだ。
「従って夜はだ」
「これまでよりですね」
「寝ていないだろうな」
「ですから」
「身体は弱いか」
「弱っています」
マイラ、彼女はというのだ。
「ですから」
「后も問題か」
「そう思います」
「困るな」
冷静な顔でだ、太子は言った。
「后との間に子をもうけなければな」
「この国をロートリンゲン家のものにはならないですね」
「それが出来なくなりますね」
「だからですね」
「ここは、ですね」
「一人でもですね」
「お子を」
「そうも思う、若し后に何かあれば」
その時のことも考えている、だから太子
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