第27話『素顔』
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相には一向に近づかない。
ホントにコイツは誰なんだ。そもそも性別もわからないし。声を発してくれれば良いのだが、それも無理そうだ。
「いっそ全部灰にしてやろうか…」
私は相手に聞こえないように小さく呟く。
実際、そうやった方が全て丸く収まるのだ。
ホントにやってやりたい。
「ねぇアンタ」
「?」
声を掛けると、仮面野郎は無言で反応する。
全く、徹底して声を出さないわね。
「あーもうメンドっ!!」
「!?」
私は身体から、自分を覆いつくす程の大きな焔を出した。
辺りは熱気に包まれ、火花が漂う。もはや火事であった。
仮面野郎はその惨状を見ると、身の危険を感じてか後退りをする。
こうなったら…強制的に吐かせる。
私はその状態で奴に近づいた。もう考えることは放棄している。
奴はさらに後ろに下がった。仮面に隠れて表情は見えないが、きっと怯えていることだろう。そう思うと気分が良い。
まぁ実は、これにはさっき追い掛けられたお返しの意味もあるんだけどね。同じ恐怖を味わって貰わないと。
私は刀を振り上げ、狙いを定めると・・・一気に降り下ろした。
目の前に残ったのは黒焦げになっているマント。そしてそこには、不気味な笑みを浮かべた仮面もあった。
だがどう見ても、人間の姿は無い。
服の残骸が残る以上、人間が灰になっている訳がない。
よって・・・
「随分可愛い奴ね、あんた」
「……」
私が向いた方向には、制服にパーカーを着るという珍しい格好をしている男子が居た。
焔に包まれたあの一瞬で、マントらを犠牲に逃げ出す。凄い身体能力と判断力だ。
整った中性的な顔。私よりは幼そうだが、でもどこか凛々しさもある男子。
何より驚いたのが、頭についている犬のような耳だった。趣味の飾り物かと思ったが、彼が動くに合わせ動くそれを見て、耳は本物なのだと気がつく。
「……」
しかも先程から彼はこの状態。ガクガクと震え、まるで何かに怯えているようだった。
まぁ、理由には察しがつくけど。どんな過去かは知らないが、大変だったろうな…。
「ねぇあんた」
「……!!」
仮面を付けていないので、驚いた表情が丸わかりだった。もしかしなくても人が苦手なのかな、この子。だから仮面で隠してた・・・。
とりあえず私は、聞きたかった事を訊いてみる。
「あんたって何部なの?」
まずは所属。こればかりが気になって仕方なかった。
「帰宅部…ですけど」
は〜帰宅部ね。はいはい、なるほど〜・・・
「帰宅部!?」
私は驚いて声を上げる。
無理もないだろう。なぜ部費
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