第27話『素顔』
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、蛍光灯に器用にしがみつく奴の姿があった。
「っ!!」
ガキィン
降り下ろすように奴が振った鉄パイプを、私はすぐさま刀を構えて受け止める。またも甲高い音が響いた。
その後仮面野郎は地面に下り、またしても私と距離を取った。
さて、ますますコイツの存在がわからなくなってきた。
身のこなし、スピード、次元を無視したフットワーク・・・まるで“獣”の様ではないか。
けど、そんな話はまず有り得ないし、コイツだって所詮は人間である。たまたま運動神経が常人の域を越えているだけだろう。ただ、剣術で闘うのだから、当然剣士として負ける訳にはいかない。
絶対に負かして正体を暴いてやる!
*
「いってーな晴登…」
「はぁはぁ…」
肩で息をして疲れきっている俺の前で、仰向けに倒れている大地が言った。コイツはもう戦闘不能ということでいいだろう。
「防ぐならまだしも、返してくるとはな…」
随分軽そうに話してはいるが、先程のダメージは尋常では無かったはずである。
何と言っても、さっきコイツが放ったシュートを俺は風を使って反射し、そのボールが腹に直撃したのだ。
そう考えると、先程の自分の行動をかなり申し訳なく思う。
「わ、悪かったな大地…」
「良いさ、勝負なんだし。にしても、そのトリックはどうなってんだよ?」
俺は今のところ、大地や莉奈らに部活の事は話していない。というか隠している。だからコイツらは、俺が魔術部に入っていることさえ知らないのだ。
当然、魔術のことを伝える訳にもいかない。それは今後も変わらないだろう。俺はまだ隠し通さなきゃならないのだ。彼らと“友達”で居られるために。
「秘密。知りたいなら暴いてみな」
俺は余裕の表情で言った。
大地はそれを聞くと苦笑いを溢し、「面倒くせ」と一言呟く。深く詮索してくる様子は無さそうだ。
その後二人で笑い合い、俺の『勝利』でこの戦闘は幕を閉じた。
*
右、左、右、上、下、右・・・。
さっきから攻撃を避けることに徹しているが、どうやらコイツの剣術にパターンは無い。というか闇雲に振っているように感じる。
つまり、コイツは剣術については素人。剣道部だとか…その辺ではない。
「ふっ!!」
「!!」
だからと言って、私が不意打ちとしてたまに刀を振るってやるのだが、これも当たらない。奴の反射神経が高いということだ。
仮面だけを斬るように加減はしているが、それでもこの反応速度は並ではない。一体何のスポーツをしているのか…。
──というように私は今までの間、仮面野郎の情報を探っていた。しかし出てくるのは的外れなモノばかり。真
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