第64話 それぞれの旅立ち 中編
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
方はうまく近藤の口に不発弾を含ませられる距離まで離れ、自らの剣気を放った。それは、一流と言われる剣客は目が見えずともその相手の剣気で探ることができることを土方は利用するためだった。
「そこかぁ!!歳三」
近藤はにやりと笑うと物凄い速さで駆け寄ってきた。
「うおりゃぁー」
近藤は大上段から気合を込めて振り下ろしてきた。
(いまだ!!)
土方は近藤の斬撃を間一髪かわすと典太で近藤の膝裏に打ち付けた。現代では、膝かっくんという遊びがある。不意に膝の裏側に自分の膝を打ち付けて相手を転ばせる遊びだ。まさに、近藤はその状態となり、勢いもあってか前のめりに倒れこんだ。
「うわぁ」
近藤は焦りのあまり口を開いた状態であったために、その大きな口が不発弾を含んでしまった。
土方はそれを見逃すことはなかった。すぐさま、近藤の後頭部を左足で何度か踏みつけ、全力で押えつけた。
「はがはが」
近藤は怒りに任せて、びたばたと暴れまわっていた。が、土方はそんなこともお構えなしに、今度は愛刀を柄に入れたまま不割断を力いっぱい殴りつけた。
(しんかんに火が付き爆発すればいいんだ)
土方も必死だった。ここで近藤に逃げられたら勝機はない。固い不割断を力の限りひっぱたいた。
(このまま刀が折れても構わん。腕が使えなくても構わん。ここが正念場だ)
痺れる手に構わず、叩き続けた。その時、凝った破裂音が聞こえたと同時に衝撃が足の裏に感じた。
(やったか?)
そうは思ったが足の力は緩めることはなかった。が、じたばたと動いていた近藤の動きが少し止まったようなきがした。が、しかし、近藤の凄い力が、土方を跳ね飛ばした。
(失敗か)
土方は覚悟を決めた。が、起き上がってきた近藤の顔は吹き飛び、丸い穴だけがそこにあった。
「ど、じ、ぞ、ぅーーーーー!!」
声なのか空気が漏れているだけなの分からないような音がその穴から聞こえてくる。その異様さに土方は一瞬ひるんだが、典太を抜きその穴に向けて天に向かって突き上げた。
「これで終わりだよ、近藤さん」
突き上げた典太は近藤の頭蓋を突き破り鋭く輝いていた。そして、勢いよく典太を引き抜くと、近藤は言葉も発することなく大の字倒れこみ、灰と化して消え失せてしまった。
土方は近藤との死闘を終えると、周りを見渡した。
そこには、旧幕府軍の戦士達の屍が累々と横たわっていた。
「近藤さん。この戦い、幕府軍は敗れるだろう。そして、俺たちが築き上げた新撰組もいずれ消え去るだろう。でも、俺は死んで逝った仲間たちの為にもこの誠の一文字を以て戦っていくよ」
空から降る雨は一段と強くなったような気がした。
「でもな、近藤さん。俺はあんたみたいに怪物なった奴らはすべて斬る。あと何人いるかわからないけどな」
土方は近藤
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ