ターン54 炎の幻魔と暴食の憑依
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に発電所に行って守りを固めておいてくれ」
「オーケイ。でも、なんで僕を選んだの?もっと強い、例えば十代とかでも……」
「いや。お前の精霊を呼び出す力は、俺の見たところヨハン、十代と並んでお前がトップだ。ヨハンは今からデュエルに行くし、十代はこの集団の中でリーダー役を担ってもらわねばならない。今この瞬間に腹を空かせた生徒による暴動が起きていないのは、あいつのリーダーシップによるところが大きいからな。ここで自由に動けるのは、お前しかいないんだ」
「ん。じゃ、早いとこ援軍に来てね。ワンキルしてよワンキル」
「ははは、お前らしいな。もちろん善処する」
これなら正式な頼みがあってのことだし、僕の独断専行にはならないだろう。いざとなったら明日香にはオブライエンがやれって言った、で押し通せばいいし。何事もなかったかのように出ていくオブライエンの背中に軽く手を振り、こっそりと外に向かう集団から離脱する。誰にも見られないよう気を配ったつもりだが、この男相手にはそうもいかなかったようだ。
「……や、三沢」
「話は聞いていたぞ、清明。どの道発電所は俺も一度は見ておきたかったんだ、付き合うぜ」
つくづく三沢相手には妙な縁があると思う。ま、僕に単独行動とか正気の沙汰とは思えないから見張りがいるってのはちょうどいいけどさ。もしゾンビに見つかっても最悪2人がかりなら正面突破もやり易くなるし、何よりデスベルトを装着していない三沢はものすごく心強い……とも思ったが、あちらはあちらでどこかに集まっているのかなぜか1人も見つけられらずに発電所までたどり着いた。到着するや否やあちこちの機器をいじって復旧作業を急ぐ三沢の横で、地平線の向こうまでアカデミア以外ひたすら砂だけが広がる地形を見渡し警戒する。これだけ周りに何もないと、どこから何が来てもすぐわかるから気が楽でいい。
そんな場合ではないのはよくわかっているが、昨日からずっとバリケードだらけの校舎内にいたせいで久しぶりに見るどこまでも広がる空を見上げてちょっとのどかな気分に浸っていると、突然離れた場所から光が弾けるのが見えた。それとほぼ同時に地面が揺れ、その光の根元から何本もの柱が付き出してくる。
「うおっ!?」
三沢が叫ぶ後ろで、なにかパチパチと火花が飛ぶような音がかすかにした。もしかしたら今のショックで、発電システムが多少なりとも生き返ったのかもしれない。
だが、それは同時にこの砂漠にいた何かを叩き起こす役目も果たしたようだ。僕の目の前でゆっくりと砂が持ち上がり、その奥からぎらぎらと怒りに燃える瞳が覗く。それはゆっくりと周りの状況を確認するように動き、やがて火花を立てるコード相手に悪戦苦闘している三沢の方を向いて止まった。
ずる、ずると砂を纏ったままにその何かが動き出して、ようやく我に
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