暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン54 炎の幻魔と暴食の憑依
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「すまないドン、俺があの3人に気づいてさえいれば……!」
「それは言いっこなしでしょ?僕だって寝てたし、皆だって寝てたよ」

 出て行ったのが昨夜ならまだ無事でいる可能性もあるし、少人数の探索部隊を編成するか……そんな話が持ち上がったところで、いきなり校内放送が響いた。放送室も奴らの手の中にあるため、一斉に緊張が走る。もし大音量で黒板を爪でひっかく音がエンドレスに流れてきたりしたら、それは何よりも恐ろしい攻撃になるだろう……いや、割と真面目に。

『おはよう、生徒諸君。僕はこの世界の支配者、加納マルタンさ』
「マルタン……」

 レイちゃんと同時期に入学した、やたらと大人しいラーイエローの男子だ。友達を作ろうとしない様子を見かねたのか何度かレイちゃんが世話を焼くのを見たことがあるし、そんな彼女が僕の店に連れ込んでは甘いものを半ば無理やり一緒に食べたりしているから僕も面識がある。この世界に来たことは知っていたけど、それ以降ずっと行方不明だったからもうゾンビになったものかと思っていたけど……いずれにせよ、この放送に答えが隠されているのだろう。

「マルタン!お前、無事だったのか!?」
『その声、十代だね。やあ』

 十代の叫びに、ノータイムで返事を返すマルタン。校内放送で会話を成立させるだなんて、どんな仕掛けがあるんだってんだ。

「マルっち!マルっちなの!?」
「レイちゃん……」

 友達が行方不明ということで、色々と思うところもあったのだろう。今朝になって意識が戻ったレイちゃんが、まだふらつきながらも起き上がってスピーカーに呼び掛ける。

『その呼び方、やめてくれないかな?僕はゾンビたちの王、マルタン帝国の支配者なんだ。まあそんなことより、今日は君たちに取引の話があるんだ』
「取引?」

 マルタンが僕らに突き付けた条件は、こうだ。まずマルタン側は、食糧庫にある食料をこちらにいくらか分け与える。そのかわりこちらは、あの砂に埋もれた発電施設を渡す……確かに食料は欲しいが、まだ発電所も完全に死んだと決まったではない。三沢辺りが見れば、案外なんとかなる可能性もある。とはいえ発電所が動いたとしても、電気を食べて生きていくわけにはいかないのも事実。好条件なだけにどう考えても怪しいこの提案に対し、十代はデュエルでの賭けを提案した。勝ったものが全部取るその案は意外にも受け入れられ、ジム、オブライエン、ヨハンとこちらの出すメンバーも決まった。いざマルタンの呼びかけに従い外に出……ようとしたところで、オブライエンが僕の肩を叩いた。

「この話にはどう考えても裏がある。食料と聞けば、ここにいる生徒たちの目は全てデュエルに注がれるだろう。その間、奴は誰にも邪魔されずに動き放題になる……頼む、俺もなるべく早く終わらせるから、先
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