ターン54 炎の幻魔と暴食の憑依
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「……で、どうするかねほんとに」
夜が来た。結論から言うと、僕も葵ちゃんも無断外出にはおとがめなし。というより、ちょうど十代達が帰ってきたりそのまま鮎川先生とレイちゃんを助けに行ったりと、それどころではなかったようだ。結果鮎川先生こそゾンビにされてしまったものの、なんとか助かったレイちゃんは薬がうまいこと効いたのか、意識こそ戻らないものの呼吸も安定して小康状態になっている。なのでそれについてはとりあえず心配しなくていいが、他にも差し迫った問題がある。
「食糧庫は奴らの手のなか。兵糧攻めは、俺達に援軍が期待できないこの状況では最も効果的な方法だ」
オブライエンの言葉に、僕らは押し黙る。そう、食糧問題だ。辛うじて災害用の水と食料はあるものの、それだってこの人数がいつまでも食べていける量があるわけではない。今日のところはトメさんの頑張りもあってまだ持ちこたえているが、既に不満は爆発寸前だし、事実このままだと空腹と栄養失調でますますこちらが弱ってしまう。辛うじて発電エリアだけはこちらが押さえてはいるが、砂まみれになって精密機械は全部パーだからもはやただの鉄くずと見たほうがいいだろう。せめて僕の店があれば砂糖ぐらいは手に入ったのだが、それも奴らの側にある。
「トゥデイはもうミッドナイトだ。夜に動くと夜行性のモンスターがいるかもしれない、今日のところはスリープして体力を節約しよう」
結局いくら考えても結論は出ず、ジムの一言によりこの日は大人しく寝ることにした。願わくばこの悪夢のような生活も、明日になれば3つの朝日と一緒に無かったことにならないか、なんて子供じみたことを考えながら目を閉じると、なんだかんだいっても体には疲労が残っていたらしく、あっけないほど早く眠りにつくことができた。
次の日。当然ゾンビがいなくなるようなことはなく、僕らは守りを固めることにした。どうせ場所がばれているならといらない机やパイプ椅子などを積み上げて派手に通路を遮断する者、ありあわせの木材と釘でバリケードを作る者、オブライエンなどは銃のメンテナンス……ではなく、デュエルディスクの手入れに余念がない。クロノス先生はここに来てようやく先生らしいことをやり始め、ゾンビ化した生徒のリストを作り出している。その結果、実に厄介な案件が持ち上がった。
「やぁまだー!てぇらおかー!やまなかぁー!どこ行ったこのやろ、とりあえず殴るからさっさと出て来い!」
3人の生徒が行方不明になったのだ。といっても、ゾンビがバリケード内部に忍び込んだわけではないらしい。トイレの窓にあったバリケードが強引に中から引っぺがされ、そこから外に抜け出したようだ。そこが一番食糧庫に近い場所なことを考えると、つまりはそういうことなんだろう。
「特に腹を空かせていたからな、あの3人は
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