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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
54.第四地獄・奈落底界
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に、互いに殺しきることが出来なかった。だから今日は――本当に終わるまで付き合えよ」

 オーネストは見下ろす黒竜にそう呟き、重力に身を委ねて60層への闇に沈む。
 二度と這い上がれぬ奈落へと、堕ちるように。



 = =



「うそ………」

 ウォノの張った相殺結界の中から、ココたちは呆然とその光景を見つめていた。
 次元の違う戦いを見つめる事さえ難しく、その場を吹き飛ばされないだけで精一杯だったココたちは目の前の光景に唖然とする他なかった。地震や地割れという言葉さえ耳に馴染のない彼らには、フロアの床が丸ごと崩落するなどオーネストとアズ以上に現実味のない光景に映っただろう。

 しかし、床が抜けるのはある意味では必然だった。岩盤を粉砕しながら戦った黒竜とそれに立ち向かった4人のせいで岩盤内部には大量の亀裂が走り、更にそれに追い打ちをかけるように超高熱の蒼炎による岩盤の融解と体積の急激な変化。止めを刺したのはフィールド全体を元の温度に引き戻したリージュの『絶対零度』だ。これいによって急速な温度変化に伴う体積変化を引き起こした地盤は極限まで脆く追い詰められた。

 それでも分厚いダンジョンの岩盤は形を保っていたのだが――黒竜の一点集中の叩きつけがとうとう最後の均衡を崩した。既にココたちから見えるのはただの奈落であり、底へ落ちていった黒竜とオーネストたちの姿など映らない。

 本当に、ココたちには何もすることが無くなってしまった。
 追いかけようにも60層に続く筈の洞窟への床は崩れ去り、空を飛べない彼らには行きつけなくなってしまっている。諦めたように首を振ったヴェルトールが、へたり込んでん大穴を覗くココの肩に手を置いた。

「もう、こうなったら外野にはどうこう言えないな。後はオーネストたちが勝って戻ってくるのを祈るだけだ」
「……………」
「元々参加させないって話だったのを、無理を言って着いてきたんだ。今更文句は言わないよな」
『イギありー!オーネストたちがシンパイだから帰りたくありませーん!!』
『異議なし、であるな。というかもう……結界の維持に力を使いすぎて……ぱわぁが……』
「お疲れさま!がんばりまちたねー、ヨシヨシ♪」

 相殺結界を張りっぱなしだったためにくたびれたように肩を落とすウォノの頭を撫でてキャロラインがねぎらう。流石の彼女も子供と人形は守備範囲外なのか性的なものは感じないが、撫でるためにしゃがんでいるせいで一部の露出が余計に強調されて結局エロい。ウォノが人間だったらかなり目に毒な光景だったろう。

 口惜しいけれど、もう本当に自分が出来ることはなくなってしまったのだな――と悟ったココの視界が微かに滲む。それが涙だと気付いたココは袖でごしごしと涙を拭い、立ち上がった。唯でさえ無
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