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渦巻く滄海 紅き空 【上】
百六 人形劇の黒幕
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止めた。
ギチギチギチ…とギタイを縛り付けている脊柱の震えが君麻呂に届く。その振動の異様な大きさに、君麻呂は顔を顰めた。

ギタイの体躯が先ほどより更に大きく膨れ上がる。もはや人間の名残があるのは顔だけで、それ以外はもはや岩石と化していた。突如変化したギタイの身を辛うじて縛っている脊柱の鞭がギシギシ呻く。拘束し切れず解けた鞭を手元に戻せば、ギタイはにんまりと眼を細めた。

「期待外れでありんすなぁ〜。あんさんがこんなんじゃ、あのナルトとかいう奴も大したことないわいな〜」
せせら笑っていたギタイの表情が、ひくりと引き攣る。
俯いている君麻呂の全身から凄まじい殺気が迸っていた。



「…――ナルト様を侮辱した罪、死を以て償え」


己が崇拝する者の名誉が傷つけられたと感じると、己が酷く傷ついて激怒する。崇拝する者が大切であるほど、その大切な者の為に闘う。
自身が馬鹿にされる事より敬愛する者を愚弄される事のほうが遙かに耐えられない。冷徹でありながら一途な性格の君麻呂にとって、ナルトを軽視される事は許し難いものだった。

「――お許しください、ナルト様…」

君麻呂の殺気に圧され、暫し立ち竦んでいたギタイがハッと我に返った。すぐさま襲い掛かろうと巨石の腕を振り被る。地鳴りを立てて君麻呂に迫るギタイの体躯が、直後ピシリと強張った。

君麻呂の胸元に施された模様。ソレが徐々に増え始め、その身を蝕んでゆく。独特の模様が全身を覆うにつれ、寸前以上の膨大なチャクラと殺気が彼を取り巻いていた。


かつてナルトに禁じられてから一切使用していなかった禁断の術。
禍々しい文様を身に纏う君麻呂の姿はギタイ同様、正しく異形のものだった。


「貴方様に禁じられていた“呪印”解放致します」

























セツナにナルトを足止めさせ、自身は標的を追う。
目的の巫女をおぶって沼の国の祠へ先に向かった白の姿を、黄泉配下の一人であるクスナは追跡していた。

不意に、チカッと何か眩い光が視界を遮る。眼を細めたクスナは、その光を放つ対象物を見つけて軽く唇を歪めた。
(なるほど…そういえば、護衛の一人は鏡を操っていたな…)

巫女の館を襲撃した際、対峙した少年の内の一人。今正に追跡している白は、あの時確かに鏡を用いてクスナ達四人衆を迎撃していた。
それと同じ鏡が、クスナの進行を邪魔するかのように所々に置かれてある。木陰で見えないよう宙に浮いている鏡の中から、やにわに飛んでくる千本を回避して、クスナは嘲笑した。
(だが、これじゃあ自分の居場所を暴露しているのと同じだ)

移動中に術を発動し、トラップとして鏡を置いているのだろうが、逆に言えば
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