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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百五十話 真意
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ね。彼ら単独では力を振るう事など出来ません。それもわからずに外戚として力を振るおうとするならば……」
「するならば?」
「その時は彼らにも滅んでもらう事になるでしょう。両家が生き残ったのは新帝国の成立に協力したからです。外戚として受け入れられたわけではない」
穏やかな表情だ。目の前で元帥は穏やかに微笑んでいる。本当に今の言葉は元帥が言ったのだろうか? そんな疑問を抱かせる表情だ。
こちらがどう反応するか見ているのだろうか? 思わず、唾を飲み込む。その音が大きく響いた。その途端、リヒテンラーデ侯の笑い声が聞こえた。
「なかなか怖い男であろう? 気張るのじゃな、マリーンドルフ伯」
からかうようなリヒテンラーデ侯の言葉に答えることが出来ない。それでも何とか掠れる声で元帥に問いかけた。
「もし、両家が暴発に巻き込まれたらどうします。両家のフロイラインは反逆者の娘になります。女帝になるのは難しいのでは有りませんか?」
「ブラウンシュバイク、リッテンハイムの両家は公にはなっていませんが帝国への恭順を受け入れたのです。その証として彼女達を人質として差し出した。両家が暴発に巻き込まれた場合はその事を公にし、彼女たちには罪が無い事を表明します」
「……」
「その後の事ですが、父親が反逆した以上、家は取り潰されます。となれば母方の実家に戻ることになりますね」
「実家に戻る……」
「ええ、以後はゴールデンバウムの姓を名乗っていただく。つまり、お二人は皇族の籍に入られる」
「! 元帥、それは」
ヴァレンシュタイン元帥は穏やかな笑みを浮かべたままだ。リヒテンラーデ侯を見ると侯は面白そうに私を見ている。つまり二人にとっては辺境への領地替えが上手く行くかどうかは二の次と言う事か。大切なのは両家の夫人、令嬢を手に入れたこと……。
「この事を知る者は?」
思わず声が小さくなった。
「文官では、ゲルラッハ子爵と卿かの。軍では帝国軍三長官のみじゃ」
「……」
やはりそうか、私でも疑問を持つ領地替えにエーレンベルク、シュタインホフの両元帥が反対しなかったのは事前に打ち合わせが出来ていたからか。つまり、エルウィン・ヨーゼフ殿下が皇帝になる可能性は現時点では皆無と言う事だ。
「ローエングラム伯は?」
「伯は知らぬ」
「!」
「何故、ローエングラム伯に教えないのです?」
「そうじゃの、我等の見る十五年後とローエングラム伯の見る十五年後はどうやら違うようなのでな」
「……」
「私が領地替えの案を出した事に不満そうでしたね。まさか暴発しても構わないと考えているとは思ってもいないのでしょう。誤魔化すのが大変でした」
苦笑交じりの元帥の声だった。どうやら私は信用されているらしい、そしてローエングラム
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