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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百五十話 真意
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う。リヒテンラーデ侯もそれ以上問おうとはしない。どういうことだろう、元帥とフレーゲル男爵は激しく対立していたはずだ。それが今では、何らかの繋がりがあるようだ。
「それにしても驚いたの、いきなりスクリーンに彼の姿が映ったときには」
「それはこちらも同様です。何とか侯と相談したい、労をとってくれと言うのですからね」
「しかし、会うだけの価値は有った」
リヒテンラーデ侯の言葉にヴァレンシュタイン元帥は感慨深げに頷いた。
「フレーゲル男爵の提案と言う事は、ブラウンシュバイク公とは合意が出来ていた、そういうことではありませんか?」
私の質問をヴァレンシュタイン元帥は首を横に振って否定した。
「そうではないんです。ギルベルト・ファルマー氏は最初に私達に連絡を取り、御婦人方の返還と領地替えの案を出した。私達が同意したのを受けてフェルナー准将に御婦人方の返還を助言したんです。時間を稼げると言って」
「では領地替えは?」
「ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯がそれを受け入れるかどうか、ファルマー氏には確信が持てなかった。それなら私達から最終提案の形で出したほうが効果的だと考え、私達から提示して欲しい、そう言ってきたんです」
「よく分かりませんが、領地替えというのはそれほど良い案なのでしょうか? 自分にはどうも良くわからないのですが……」
私の質問にリヒテンラーデ侯とヴァレンシュタイン元帥が顔を見合わせ苦笑した。
「貴族達を暴発させ、反乱を鎮圧する。その点に関して言えば下策ですね。誉められた策ではありません」
どういうことだろう。領地替えは下策である、そう元帥は言っている。にもかかわらず下策である領地替えを何故勧めるのか? 他に何かあるのだろうか?
「では、何故その案を受け入れるのです?」
リヒテンラーデ侯とヴァレンシュタイン元帥はまた顔を見合わせた。今度は侯は意味ありげに笑い、元帥は困った顔をしている。
「教えてはいただけませんか」
「領地替えを認めず、ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯を暴発させる。今は良いのじゃがの、問題は十年後、十五年後かの……」
「……」
十年後、十五年後か……。一体何が有るのだろう? 私はリヒテンラーデ侯とヴァレンシュタイン元帥を見つめた。話してくれるだろうか? 私がどれだけ信頼されているか、判断するいい機会かもしれない。
「……卿はエルウィン・ヨーゼフ殿下に拝謁した事が有るか?」
「一度有りますが、それが何か?」
「一度か、では分からなかったかもしれんの」
溜息交じりの侯の声だった。分からない? 分からないとは何のことだろう?
「殿下は天晴れ、暴君になる御器量をお持ちだ」
「!」
驚いてリヒテンラーデ侯とヴァレンシュタイン元帥を見る。リ
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