十二話:水族館
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浮かんできて……」
『それが俺…? リヨ…ぐだ…子……うっ、頭が!』
「私も何故か据え置きゲーム機を破壊させられたような…それに、一万年以上生きていそうな…」
二人して謎の記憶に頭を痛める。
特にジャンヌの方は触れてはいけない何かに触れたように冷たい汗が頬を伝っている。
『よし、この件はもう忘れよう。ラスボスを片手で捻りそうな俺なんていないんだ』
「そうですね、忘れましょう。私達の精神衛生のために。……でも、その前に一つ聞いておきたいことが」
『何?』
何かを決心したように瞳に力を入れるジャンヌ。
思わずドキリとしながらも平静を装い尋ねるぐだ男。
「ぐだ男君は……オ、オトコノコが好きなんですか?」
『よし、落ち着こうか。話せばわかる』
自身にとんでもない疑惑がかけられていることを知り真顔で否定するぐだ男。
『そもそもなんでそう思うの?』
「いえ、ぐだ男君とアストルフォの仲がやけに良い気がしまして……勿論、仲が良いのは良いことなんですが」
『好きだけどただの友達だよ。ジャンヌもそういう意味で好きな人はいるでしょ?』
ぐだ男の言葉にそれもそうかと胸を撫で下ろすジャンヌ。
彼女の宗教観では同性愛は基本的にご法度である。
そう、アストルフォの尻を撫でるぐだ男などいないのだ。
「そうですね。隣人愛ですか、それならば納得です。私もそういう意味であれば皆さん好きです」
『嫌いな人はいないの?』
「嫌いな人…ですか? 許せない行為はありますが、嫌うということはないです」
至極当たり前に嫌いな人間はいないと宣言するジャンヌ。
そんな彼女に今度はぐだ男の方が疑問を抱く。
彼女の考え方はどこかおかしくないのかと。
『好きな人はいるのに?』
「…? 主と同じ全ての者への平等な愛というわけではないのですか?」
『いや、その中でも好き嫌いがあるんじゃないの』
「好ましい在り方や嫌悪する在り方はもちろんあります。しかし、如何なる在り方であろうと私は平等に愛しています。それが主の愛ですから」
一切の迷いなどなく言い切るジャンヌにぐだ男は尊い何かを見る。
しかし、同時にもの悲しさも感じるのだった。
『……特別な人はいないの?』
「え…」
『ううん、何でもない。忘れて』
戸惑うジャンヌに首を振り笑って誤魔化す。
彼女の心は聖女だ。誰かを憎むこともなければ誰かを特別に愛すこともない。
何故ならばそれは平等などではないからだ。
好き嫌いはあってもそこに特別なものはない。
恐らく彼女は人としての尊厳全てを奪われても恨み言一つ言わないであろう。
寧ろ相手の罪が赦されるように自らが償おうとするだろう。
かつて人類の原
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