十二話:水族館
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小魚の悲しい現実に触れぐだ男と同じように悲しい顔をするアストルフォ。
だが、持ち前の明るさで暗い気持ちを一掃し再び目についたもの目掛けて走り始める。
勿論、手を繋いだぐだ男を引っ張りながら。
「アストルフォ、貴女は少し落ち着きなさい。ぐだ男君が大変そうですよ」
しかし、振り回されているぐだ男を不憫に思ったジャンヌが窘めるように止める。
もっとも、止められた方のアストルフォは不思議そうな表情を浮かべているだけだが。
「そもそも、どうして手を握っているのですか? そういうことは…その…好き合っている人がやるものです」
「え、そうなの? でも、ボクはぐだ男のこと―――好きだからいいよね!」
恥ずかしそうにアストルフォに注意するジャンヌだったが次の言葉で固まってしまう。
エドモンも無言で体を硬直させ、ぐだ男は突然のことに頬を染める。
ニコニコと笑うアストルフォの時間だけが進んでいく。
『そ、それはつまり…?』
「あれ? ひょっとして君はボクのこと……嫌い?」
不安そうな顔で瞳を震わせるアストルフォ。
ぐだ男はその表情に思わず理性が崩壊して抱きしめたくなってしまう。
だが、そんなことをすれば取り返しのつかないことになってしまいそうなので踏み留まる。
『いや、好きだよ。勿論友達としてだけど』
「えへへ、よかったー」
取り敢えず爽やかな笑みを浮かべて誤解のないように返答をする。
彼の返事にアストルフォは嬉しそうにぐだ男に抱き着いてくる。
そんな様子にジャンヌは溜息を吐きながら注意をする。
「はぁ、あなたがぐだ男のことを好きなのは分かりましたが、異性にそのように抱き着きつくのははしたないですよ」
「んー? 異性?」
「そうですよ。ましてや結婚前の男女がそのような―――」
「―――でも、ボクたちは同姓だよ」
空気が凍る。当然、少し肌寒い程に効いていた空調のせいではない。
アストルフォの爆弾発言が原因である。
エドモンとジャンヌは体が硬直したまま目を動かして二人を見比べる。
どう見ても男なぐだ男に、どう見ても女なしかも飛びきりかわいいアストルフォ。
「ぐ、ぐだ男君は…女の子だったのですか?」
『なんでさ』
「そ、そうですよね。ぐだ男君にはちゃんと…つ、ついていますからね」
以前の事件を思い出して顔を赤くしながらぐだ男、女性説を取り下げるジャンヌ。
しかしながら、そうなってくると残された可能性は一つしかない。
そう、アストルフォは―――
「貴女は……男の子だったのですか?」
「うん。ボクはオトコノコだよ」
―――男性だったのだ。
衝撃の事実に呆然とするジャンヌをよそにアストルフォは微笑みを浮
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