十二話:水族館
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トルフォに釘を刺すエドモン。
「フン、どうだかな。俺はお前に何も期待していない。せいぜい逸れないように―――」
「わぁ! 見て見て! あっちに綺麗なクラゲがいるよー!」
「言ってる傍から勝手に動き出すな!!」
光るクラゲを見つけ、目を輝かせながら走り出すアストルフォ。
その手にはしっかりとぐだ男の手が握られているためにエドモンも無視できずに追いかけていく。
ジャンヌはその様子に苦笑いしながら追いかけていく。
その光景は一見すると家族のようであった。
『綺麗だね』
「うんうん。ぷかぷか浮いてるだけなのに光ってるから幻想的だよね」
このように無邪気に虹色に光るクラゲを見つめるアストルフォ。
しかし、それも束の間。また新しいものを発見すると同時に走り出していく。
「今度はカニだよ。美味しそうだねー」
『水族館で言ってはならないことを……』
「だってホントのことだもん。あ! あっちにすっごく大きな水槽があるよ!」
手を掴まれているために一緒に走る羽目になっているぐだ男はアストルフォに翻弄され続ける。
右に行ったかと思えば左に行く。
まさに元気いっぱいといった様子にジャンヌもエドモンも目を回しながら追いかけていく。
ある意味でここはアストルフォの独壇場となっていた。
「うわぁ! サメだよ、サメ! でっかいサメだ!」
『すごく…大きいです』
可愛らしい笑顔を浮かべながら巨大な水槽の中を優雅に泳ぐサメを見るアストルフォ。
サメの周りには多くの小魚も泳いでおり鱗に光が反射し幻想的な光景を醸し出している。
そんな光景を見ているとふとした疑問がアストルフォの中に沸き起こってきた。
「ねー、どうしてサメは他の魚を食べないの?」
『エドもうん、アストルフォの質問に答えてよぉ』
「ええいッ、俺をどこぞの猫型ロボットのように呼ぶな!」
アストルフォからの無邪気かつ残酷な質問をエドモンに受け流すぐだ男。
押し付けられたエドモンは当然のことながら反抗するが期待の籠った瞳には逆らえない。
「ちっ……サメは強欲な人間と違い、満腹であれば獲物を襲わない。こまめに餌をやっている間は小魚を襲う理由がない」
他にも魚の組み合わせの種類などを工夫して事故が起きないようにしてある。しかしながら。
「そうなんだー。じゃあ、小腹が空いた時はどうなるの?」
「……残酷なことだ」
『お魚さん……』
帽子に手をやり瞳に悲しみの色を浮かべるエドモン。
その表情にぐだ男も全てを悟り目を伏せる。
如何に手を打っていても事故というものは必ず起きるものなのだ。
「そっか、でもお腹が空いたのなら仕方がないか……あ、今度はウミガメだ!」
『切り替えが早い……』
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