第四章
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「では呼んでくれ」
「呼ぶのはいいですけれど」
「まあロシアの大地の上にいる気持ちでいてくれ」
シャリアピンはその余裕の笑みでテノール歌手に述べる。
「それではな」
「じゃあ」
こうしてだ。テノール歌手は怯えながらその神聖なママをシャリアピンの前に案内した。見れば大柄で人相の悪い顔にあちこち傷がある。
そして黒い服を着ている。その男がシャリアピンの前に案内されてきたのだ。
その彼がだ。シャリアピンにこう言ってきた。
「で、あんたがシャリアピンか」
「そうだ。名前は知っているんだな」
「あんたを知らないオペラを聴く奴はいないさ」
如何にもといった柄の悪い声でだ。ママはシャリアピンに答える。
「で、あんたにもな」
「私にもか」
「支払ってもらうものがあるんだよ」
「何だ、それは」
何も知らない感じを装ってだ。シャリアピンはママに応えた。
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