第2章 魔女のオペレッタ 2024/08
13話 誰も知らない邂逅
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理的や状況的な部分で既に障害が生じている。
「そもそも、PKに襲われた経験があるヤツはほぼ不意打ちを受けた筈だ。そんな状況でマトモな情報を持っているわけないだろうし、ましてや繋がりのあるヤツが簡単に口を割ってくれるなんて絶対に在り得ない。聞き出すにしたって、結構な根気と口先がないと厳しいだろうな」
アルゴも、この事に気付かないなどということは無かったかも知れない。むしろ、可能性の低い賭けだと割り切った上で真っ先に実行に移した可能性も考えられる。攻略本を出版する目的を知る立場からすれば、アルゴはそれだけプレイヤーの生存の為に躍起になっているとも取れる。どんな可能性にでも縋って、多くを救おうとする。俺とはまるで対極にあるような精神の持ち主だ。確実性の低い選択肢であっても選び取る様には、どこか羨ましくも思える。
「むぅー………でも、やっぱり無理って諦められるお話じゃないよ。………このままだと、また誰か死んじゃうんでしょ?」
「…………………………」
とはいえ、この種の情報収集に手練手管の持ち合わせがない俺にはいささかハードルが高過ぎる。
せめて情報を握っている相手に目星さえ付けば、その限りではないのだが………。
「……………あ」
「んぅ? 燐ちゃん、どうしたの?」
記憶を遡ると、ある人物に行き当たる。
まだ存命で、且つ居場所も確定しているから出向くにも容易い。
多少の覚悟は必要だろうが、ヒヨリの希望もある。背に腹は代えられまい。
「茶葉を切らした。買いに出るから先に戻ってろ」
「え、今の話でお茶が気になったの!?」
「どうにもならないなら、一旦は気分転換だ。いつまで同じことを考えたところで堂々巡りが関の山だからな」
「………よく分からないけど、早く帰ってきてね?」
「用事が済んだら帰る。長居はしない」
ヒヨリ達と別れ、転移門広場までの間は相方達の追跡がなかったことを確認する。
正直、これから会う相手は二人には合わせたくない類の人間だ。当時の真相こそ知らないまま今に至るのだが、状況証拠から判断するに、《彼》にはレッドプレイヤーとの接点があるという確証を得ている。顔を知っている程度の相手でしかないが、それでも因縁浅からぬ仲だ。こうして俺から出向いて話をするというのも奇縁というものだろう。
転移門を潜り、行き先は第一層主街区《はじまりの街》
その中央にそびえる《黒鉄宮》へと、俯いた姿勢のプレイヤーが目に付く行列の波に乗って歩を進める。
視界の端々に移るモスグリーンの胴衣を身に付けるプレイヤーを後目に、冷たく口を広げた宮殿の門を抜けた。
「…………やっぱり、良い場所じゃない」
正直、あまり好んで立ち寄るようなところではな
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